[業界動向「M&Aでみる日本の産業新地図」]

2023年3月号 341号

(2023/02/09)

第215回 物流業界「物流業界の2024年問題」が差し迫る中、M&Aが加速

編集部
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 新型コロナ禍の影響もあって、インターネット通販(EC)の拡大による宅配便需要の増加が、運送業界にとって追い風となっている。その一方で、ドライバー等の人材不足が深刻化している。

 公益社団法人 全日本トラック協会の「日本のトラック輸送産業 現状と課題 2022」によると、トラック、鉄道、外航海運、航空、倉庫など、日本の物流事業全体の市場規模はおよそ29兆円。このうち、トラック運送事業の市場規模は2018年度19兆3576億円で、物流市場全体の約7割を占めている。トラック運送事業の運送コストを見ると、人件費の占める比率がもっとも高く、典型的な労働集約型の産業といえる。さらに最近のドライバー不足のために人件費が上昇し、2020年度の全国平均で経費の39.8%を占め、次いで燃料油脂費が12.0%となっている。2021年のトラック運送事業に従事する就業者数は全体で約199万人。そのうち40歳未満の就業者数は全体の24.1%、40歳以上50歳未満が29.1%だが、50歳以上が45.2%を占め、高齢化が進んでいる。また、賃金水準は全産業平均に比べて低く、その一方で、トラックドライバーの年間労働時間は全産業平均と比較して長時間となっている。

 この状況を改善するため、働き方改革関連法によって、2024年4月1日以降「自動車運転の業務」に対して年間の時間外労働時間の上限が960時間に制限されることになっており「物流業界の2024年問題」と言われている。

 運送事業者は約6万社。そのうち半分が保有トラック10台以下の小規模事業者で、6割以上が営業赤字の状態だと言われている。加えて、

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