[M&A戦略と法務]

2022年11月号 337号

(2022/10/12)

東南アジア投資における紛争解決手段としてのシンガポール国際仲裁センター

水田 進(TMI総合法律事務所 パートナー 弁護士)
高橋 俊介(TMI総合法律事務所 弁護士 シンガポール外国法弁護士)
  • A,B,EXコース
1. はじめに

 東南アジア投資における契約では、紛争解決方法を国際仲裁とする合意がなされ、仲裁地としてシンガポールが選択されることが多い。

 本稿は、東南アジア投資における契約でよく見られる紛争解決手段としての国際仲裁の概要及びシンガポール国際仲裁センター(Singapore International Arbitration Centre。以下「シンガポール国際仲裁センター」又は「SIAC」という)について、同センターが先日公表した2021年版年次報告書等も踏まえて論考するものである。

2.東南アジア投資の現状

 日本の財務省が2022年2月8日に公表した同年の日本の対外直接投資に関する統計によると、2021年における日本の対ASEAN直接投資は前年比57.6%増の3兆1082億円となっており、シンガポール、ベトナム、マレーシアなどへの投資が拡大している。日本の対外直接投資は世界全体では0.4%の減少であったことからすれば、対ASEANの直接投資がいかに好調だったかがわかる。

3.東南アジア投資における紛争解決手段

 前述2.のとおり、東南アジア投資は引き続き順調であるが、当然全ての投資においてその後の事業運営等が順調にいくわけではなく、また、そもそも投資する時点で争いが生じることも多いのが実情である。

 特に東南アジア投資においては、

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