[業界動向「M&Aでみる日本の産業新地図」]

2022年9月号 335号

(2022/08/09)

第209回 家電量販店業界~2012年に一旦収束をみた大型再編後のM&A動向

澤田 英之(レコフ 企画管理部 リサーチ担当)
  • A,B,EXコース
1.大手・有力7社で構成される家電量販店業界

 図表1は筆者が10年近く前に作成した家電量販店再編の経緯である。2012年のビックカメラによるコジマの買収とヤマダ電機によるベスト電器の買収以後、業界再編に向けたM&Aは公表されていない。その後、同業界は図表2で示されている大手・有力7社で構成されてきた。

2.事業領域拡大やバリュー・チェーンの強化を目的としたM&Aが活発

 しかし、同業界におけるM&Aは依然として活発であり、その目的は事業領域拡大やバリュー・チェーンの強化である。

 現在業界トップのヤマダHD(群馬県高崎市)の前身であるヤマダ電機が、東証1部上場で中堅住宅メーカーのエス・バイ・エルを買収したのは2011年のことであった(図表3参照)。以来、ヤマダ電機は住宅やこれに関連する分野を事業とする企業を買収しており、対象企業の中には上場会社も含まれている。なお、ヤマダ電機は2020年10月に持株会社体制へ移行し、商号をヤマダHDへ変更している。

 2019年には経営再建中であったジャスダック上場の大塚家具を買収した。ヤマダHDは2021年から「たのしい。くらしをシアワセにする、ぜんぶ。」をストアコンセプトとし、家電の他、家具、インテリア、生活雑貨などを販売する総合型店舗のLIFE SELECTを出店。2022年3月末現在18の店舗を展開している。LIFE SELECTにおける大塚家具商品の販売拡大や来店客数の回復、また、販売における家具と家電のシナジー効果などによって大塚家具の収益は改善しているという。2022年5月にはヤマダHD子会社のヤマダデンキが大塚家具を吸収合併した。大塚家具の持つノウハウ、経営資源を集約し、両社の一体化によるシームレスな営業の強化や顧客における利便性の向上を図る。

 さらにヤマダHDは2020年、

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