[視点]

2022年10月号 336号

(2022/09/09)

相談役・顧問制度は日本企業にとって有益なのか

石田 惣平(立教大学 経済学部 准教授)
  • A,B,EXコース
相談役・顧問とは

 日本には、社長等であった者が取締役など会社法上の役員の地位を退いたあと、相談役・顧問という名称の役職に就き、会社と一定の関係を保持し続ける企業慣行が存在している。しかし、これまで相談役・顧問制度の実態についてはほとんど解明されてこなかった。これは、相談役・顧問制度に関する明確な情報開示規定が存在しなかったためである。相談役・顧問という役職は企業が独自に設けたものであり、また会社法上の役員を退いたあとに就く地位であることから、その活動内容などを開示する法的な義務が存在しない。そのため、外部者からは相談役・顧問が存在しているのかも明らかではなく、その役割や問題点の解明にはほど遠かったのである。一方、社会的な要請により、2018年1月から「コーポレート・ガバナンスに関する報告書」(以下、CG報告書)において「代表取締役社長等を退任した者の状況」の開示が始まり、相談役・顧問の有無、業務内容、勤務形態・条件といった情報が公表されるようになった。本稿では、CG報告書に記載されている情報を整理し、相談役・顧問制度の実態を明らかにする。

相談役・顧問制度の実態

 本稿では、2018年から2020年までに公表されたCG報告書を収集し、日本企業の相談役・顧問制度の実態の解明を試みる。なお、CG報告書は適宜更新されるため、本稿は毎年8月末時点に開示されているCG報告書にもとづいて、データを集計している。

 図表1は、相談役・顧問が存在する企業の割合を示している。

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