[M&Aスクランブル]

(2022/01/07)

プライム移行で焦点となる「経過措置企業」の次の一手

村松 健(SBI金融経済研究所 事務局次長)
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市場区分の見直しの影響
 
 東京証券取引所(東証)上場に関わる市場区分の見直しの結果、最上位である「プライム市場」を維持するため、親子間での持ち株の融通や、自己株消却などが盛んになっている。

 東証は、2022年4月4日より、市場区分を「プライム市場」、「スタンダード市場」、「グロース市場」の3つへと再編する。現在の東証は市場第一部、市場第二部およびマザーズ、ジャスダック(スタンダード、グロース)から構成されているが、歴史的な経緯もあり、新興市場が重複、かつ市場第一部のコンセプトが明確ではないとの指摘があった。これを受け、東証は各市場のコンセプトを明確にしたうえ、プライム、スタンダート、グロースの3市場に再編する(図表1)。22年1月11日には新市場区分に応じた各市場の上場企業が確定し、公表される。

プライム市場の上場基準の課題

 特に注目されているのは、プライム市場である。東証によれば、プライム市場に属する企業は「多くの機関投資家の投資対象になりうる規模の時価総額(流動性)を持ち、より高いガバナンス水準を備え、投資者との建設的な対話を中心に据えて持続的な成長と中長期的な企業価値の向上にコミットする」企業である必要がある。現在の日本の株式市場では、東証の市場第一部(東証一部)がこの役割を果たしているが、現実には規模やガバナンスなど、様々な企業が混在する形となっている。市場構造を見直し、海外投資家の受け皿として適切なラインナップに絞り込もうとの意図がある。...

■ 筆者履歴

松村 健

村松 健(むらまつ・けん)
1996年慶應義塾大学法学部法律学科卒業後、日本興業銀行(現みずほ銀行)入行。富山支店、業務部、証券部、広島営業部、みずほ証券等で勤務。2021年11月より現職。著書に、『銀行実務詳説 証券』、『NISAではじめる「負けない投資」の教科書』、『中国債券取引の実務』(全て共著)がある。論文寄稿、セミナー等多数。日本財務管理学会、日本信用格付学会所属。

・SBI金融経済研究所
 https://sbiferi.co.jp/

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