様々な企業に対してM&Aに関する支援をする中で、経営層やCxOといった経営の意思決定に携わる方々が「M&Aとは何か」を正しく理解することが重要であると考えています。例えば、M&Aを目的として捉えている方も中にはいらっしゃいますが、我々はM&Aは達成したい目的に辿り着くための1つの手段として考えています。M&Aの目的は、会社全体の目指すべき方向や戦略と合致している必要があります。
M&Aという手段を活用するにあたって、成長というのは大きなテーマとなります。成長以外にも様々な目的に対してM&Aという手段を活用しますが、特に国内におけるオーガニック成長余地が限定的な足もとの環境を踏まえると、M&Aを活用した成長を志向する企業は多く感じます。
加えて、M&Aは手段ですから、「何を買うのか」を明確にする必要があると考えています。わかりやすい例で言うと、技術を買う、人を買う、海外でのプレゼンスを買う(つまりお客様を買う)といったように「何を買うのか」ということを明確にすることがまず必要です。
M&Aの後工程である
PMIやガバナンス構築というのは、
■ 筆者履歴
山﨑 敦(やまざき・あつし)
マッキンゼー・アンド・カンパニー アソシエイトパートナー
買収前のポートフォリオ戦略・M&A戦略策定、ビジネス・デューデリジェンス、買収後のバリューアップ・売却など、幅広くM&Aに関わる戦略策定・執行を支援。『企業価値評価(Valuation)』(第7版)の翻訳を主要メンバーとしてリード。JPモルガン証券株式会社投資銀行部にて、クロスボーダーや国内大型再編M&Aおよび資金調達の提案・執行業務に従事した後、2019年にマッキンゼー入社。東京理科大学大学院理工学研究科修士課程修了、シカゴ大学ブース経営大学院修士課程修了(MBA)。