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(2024/09/12)

【連載】M&A実務の基礎を学ぶ 第4章 PMI(買収後統合)

加藤 千尋(マッキンゼー・アンド・カンパニー パートナー)
  • A,B,C,EXコース
*本連載では、『マッキンゼー 価値を創るM&A』(日本経済新聞出版)の要点を解説していきます。

PMIには多くの「落とし穴」

 PMIとは、特効薬のように1つの方法でうまくいくものではありません。さまざまなテーマをしっかりとこなしていくことで、ようやく成功に至るものです。言い換えると、PMIには多くの落とし穴があり、そのポイントに引っかかるほど穴が大きく深く深刻になり、リカバーが難しくなるという性質があります。

 さらに、時間が経つにつれてPMIの成功は難しくなります。なぜかというと、ディールが合意された後、迅速に方針やアクションを示さないと、買収された側は不安を感じます。その結果、不信感が募り、人材が流出することもあります。対応が遅れると、PMIを進めることが難しくなり、大きなマイナスからスタートすることになります。

 特に、成長を企図したM&Aや、「飛び地」への進出を伴うM&Aでは、プレミアムを払って成長企業を買収することが多く、馴染みのない領域に進出するため、落とし穴が増えます。買収される側も買収する側もお互いをよく理解していない場合が多く、その難しさが顕著に表れます。



■ 筆者履歴

加藤千尋(かとう・ちひろ)

加藤 千尋(かとう・ちひろ)
マッキンゼー・アンド・カンパニー パートナー
M&Aやアライアンス、PMIや成長戦略を専門に、電子機器、半導体など製造業のクライアントを中心にサポート。シリコンバレー・オフィスでは、現地企業の成長戦略やM&A戦略および大型PMIに従事。日本でもクロスボーダーのM&Aやアライアンス、PMI、テクノロジー戦略といったテーマを専門に担当。また、製造業企業の全社変革プロジェクトにも従事。2007年にマッキンゼー入社。2013年にアメリカのシリコンバレー・オフィスに転籍、2017年に日本オフィスに復帰。
京都大学理学研究科修士/スタンフォード大学にてMBA取得。

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