M&A専門誌マール

2014年4月号 234号 : 対談・座談会

[対談] デューデリジェンスの実際と成功のポイント  有料記事です ~M&Aを成功に導くDDとは~

 岡 俊子(マーバルパートナーズ 代表取締役)
 四方 藤治(前日産自動車 M&A支援部 理事)

左から岡 俊子氏、四方 藤治氏

はじめに ~自己紹介~

-- 近年、M&Aは経営戦略実現のための重要な手段として幅広く活用されるようになり、それに合わせてM&A実務の重要なプロセスの1つであるデューデリジェンス(DD)もあたりまえの手続きとして定着しています。M&Aを成功に導くには、買い手事業会社が主体的にDDに取り組む必要があると言われますが、一方で、弁護士やフィナンシャルアドバイザー(FA)などの社外専門家に依存する部分が多いのも事実です。本日は、つい最近まで日産自動車のM&A支援部で数多くの内外M&A案件に携われてきた四方藤治さんとマーバルパートナーズの岡俊子さんに、事業会社におけるDDの実態と、M&Aを成功に導く効率的で効果的なDD実現のためのポイントについて議論して頂きます。なお、マーバルパートナーズの古家勇治さんには、別稿で『デューデリジェンスの基本~経営戦略の実現を目指すDDのポイント~』をご寄稿頂きました。この対談のベースとなる基礎知識として、是非読んでいただければと思います。では、自己紹介を四方さんからお願いします。

四方 「2013年9月に37年間勤めました日産自動車(以下、日産)を退職しまして、今は言わば充電期間中ということです。37年の半分以上、日産の行った事業再編や組織再編に関連する業務に携わったのですが、特に後半の10年間は、事業会社としては珍しいと思いますが、M&A支援部を組成して日産のM&A関連業務を一手に引き受けておりました。結果として、この約20年間で、200件近くの案件に関わりました。中には新聞等で華々しく報道された巨大ディールもありますが、圧倒的多数は人知れず(笑)行われた案件で、様々な形態・サイズの事業再編です。すべては会社の事業戦略に基づく活動です。

  今日のテーマはM&Aプロセスの中でも重要な役割を占めるDDですが、M&A支援部の仕事はもちろんDDだけではなくて、その前段のM&A戦略・M&A計画の策定・提案、案件遂行に必要なチームの組成、実際の調査・交渉、ドキュメンテーション(契約書類等の作成)・調印まですべてを担当します。ポストM&A の統合作業などについては、M&A支援部の手から離れて各機能部署にバトンタッチするのですが、大半のディールには必ず積み残しの課題がありますので、一定の期間、M&A支援部が機能部署の統合作業に支障が出ないかをモニターし、必要があれば支援します。機能部署は大抵の場合、我々の部署の頻繁な介入を嫌いますので、できるだけ口は出さないように努めますが、とは言ってもディール全体を把握している部署が一貫してモニター・支援することは必要で、機能部署が担う実際の統合作業などの効率化には寄与したと思っています。クロージングを百点満点で迎えるディールはまず無くて、何らかの積み残し、未解決の課題を抱えたまま現実的に対応していくというのが実態です。ですから、期待した効果が出ないとか想定しないリスクに直面するなど、事後的に問題が発生する、要は爆発する可能性があるわけですが、それが結果として上手く回避でき、幸いにして大きな問題になる案件はなかったのは有り難いことでした。それから、M&A支援部の重要な仕事の1つは、腕のいい専門家との効率的なネットワークを構築し、維持していくことです。特にDDは専門家の力を借りてやるのが普通で、会社単独では難しいですから、効果的・効率的なDDを行う大前提と言えます」

-- 引き続き岡さん、お願いします。

 「2012年にアビームコンサルティングのグループから独立し、マーバルパートナーズを立ち上げて足かけ3年になります。ITコンサルとM&Aコンサルとではシナジーを見出しにくかったので、独立性を優先させようということで決断しました。マーバルの業務領域は、以前と同様、M&A戦略の策定から、バリュエーションやDDなどのエグゼキューション、ポストM&AのPMI支援など、M&Aの一連の流れに関するコンサルティングとアドバイザリーです。成長戦略を実現させるためのM&Aが中心で、再生案件も最近いくつか出始めてきています。最近は、半分位がクロスボーダー、特に日本企業の海外M&A(IN-OUT)で、中でも東南アジアにおける案件が大きく増えています。

  私たちの周りの事業会社の最近の関心事は大きく2つあります。1つは買収後の経営のガバナンスです。どこまで子会社にautonomy(オトノミー:自主権)を持たせ、どういう指標を使ってどういう形で親会社が子会社をコントロールするか。『経営者を誰にするのか』についても、DDの段階からお手伝いするケースが増えています。特に海外企業を買収する場合は、DDが始まると、現経営者は交代になることを前提に、自分の就職活動を始めてしまうことが多いです。一方、買い手である日本企業は、『続投』を前提にしている場合が多いのですが、日本的というか、それを早い段階でははっきり明示したがらない。そのため、最後の最後になって、続投話を持ち出す段階では、『もう別の就職先が決まっています。残念です。』と言われて、買い手の日本企業側では、『誰がこの会社を経営するのか?』と、大変なことになってしまう。こうしたドタバタ劇は、表にでる話ではありませんが、よく聞く話です。

  もう1つは、業界再編に向けたエネルギーが溜まってきていて、どう動こうかと模索し始めている点です。業界再編は避けられないと皆が分かっています。でもこれまで、なかなか主体的に動けませんでした。グループ内再編でさえなかなか意思決定できませんでした。しかし、これ以上先延ばしにしていると、誰かに先に動かれるリスクがあると感じ始めています。そういうジレンマの中で、焦りが見え隠れしながら、自分たちはどう動くべきかと周りを窺っている状況です。今まで動くべきタイミングを何度も逸してきていますので、私たちの目からも、もうそろそろタイムリミットのように見えます。日本経済を活性化するためにも再編すべきは再編した方がいいので、側面から応援したいと思っています」

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アジア , グローバル化 , 企業価値評価・DD , PMI , M&Aプレイヤー , 丹羽昇一

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