[業界動向「M&Aでみる日本の産業新地図」]
2018年3月号 281号
(2018/02/15)
1.大手生命保険の大型IN-OUT(2014年~2015年発表)とその後の展開
2014年~2015年、大手生保(文末※1参照)が相次いで大型IN-OUTを発表した(図表1参照)。
中でも2014年に発表された第一生命保険(現 第一生命ホールディングス)による米国生保のプロテクティブ買収は大きな注目を集めた。プロテクティブは1907年創業の米国本土で生保事業を展開する中堅保険グループである。注目された理由は日本の生保業界で当時最大規模のM&Aであったことや、世界最大の米国生保市場への初めての本格的な進出だったからだ。
第一生命はプロテクティブ買収後、同社を拠点にM&Aを通じて事業規模の拡大や収益源の多様化を図ってきた。
2015年には米国保険会社のRiver Lake Insurance CompanyとRiver Lake Insurance Company IIから定期保険ブロック(文末※2参照)を再保険形式で譲り受けると発表した。再保険形式の取得は事業会社を買収する場合と比較して、事務システムや従業員の引き継ぎ、統廃合が不要といったメリットがあると言われている。譲り受けた契約の維持・管理、保険金の支払い等はプロテクティブが引き受けている。
2016年には米国保険会社のユナイテッドステイツワランティコーポレーション買収を発表した。同社は車両などの機械の故障費用や全損時のローン残高相当分を保償するアセットプロテクション事業を米国46州で展開してきた。
これらのM&Aにより、2015年3月期には10%を下回っていた第一生命の経常収益における海外売上比率は、2017年3月期には21%に上昇した。
そして2018年、プロテクティブは米国のLiberty Life Assurance Company of Bostonにおける個人保険・年金既契約ブロックの取得を発表。プロテクティブにとっては1400億円という過去最大規模の案件となり2018年4~9月に完了の見込みである。
2015年には
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