M&A専門誌マール 2023年6月号 344号(2023/05/17発売)

特集: バイアウト市場とLBOファイナンスの今後

この座談会では、投資ファンドのユニゾン・キャピタルと買収資金の出し手である三菱UFJ銀行の双方に、「バイアウト市場とLBOファイナンスの今後」をテーマに議論をしてもらった。
LBOファイナンスの市場が拡大するなか、三菱UFJ銀行は2022年夏、ユニゾン・キャピタルの投資先企業であるキッズコーポレーション社に対して、「保育所受託契約の純増数」と「保育士の入社後1年間の離職率」の2つをKPIとするLBOファイナンスを実行した。ファンドの投資事例では日本初となるサスリナビリティ・リンク・ローンの仕組みが用いられており、上記の2つのKPIが同時に達成されれば、金利が減免されるスキームとなっている。
注目されるのは、キッズコーポレーション社の事例を皮切りに、中堅・中小企業向けのLBOファイナンスにおいてもESG要素に着目した投融資の事例が増えそうな機運にある点だ。投資ファンドが投資先企業をエグジットする段階においても、ESGに関する取り組みや開示が不十分である場合、上場・売却の交渉に苦労する、といった時代が早期に到来する可能性も否定できない。
PEファンドと銀行は、投資先企業の株主資本・負債の主体として中堅・中小企業を支えていくという同一の役割を担っている。キッズ社の事例を掘り下げながら、LBOファイナンスの現状と今後を展望する。

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