[M&Aスクランブル]

(2013/08/21)

M&A市場を金額により概観する際の留意点

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 2013年上半期のM&A件数は前年同期比で3.0%増加する一方で金額は47.7%減少した。M&A市場の動きが活発かどうかについて件数を基準として考えるのか、または金額を基準として考えるのか明確なものがあるわけではない。現状は金額が大幅に減少したことを理由に、日本企業を巡るM&A市場は大型案件を中心に「手控えムード」との見方もある。こうした見方が妥当かどうかを考察するために簡単な検証と試算を行った。

 図表1は株式交換・株式移転などM&Aを巡る制度が一通り導入された1999年から、2013年上半期までのM&Aデータについて、1件5,000億円以上の案件の合計が全体に占める割合を件数と金額でみたものである。これをみると例年、件数の割合(実線、左軸)では1%にも満たない案件が金額の割合(破線、右軸)では概ね20~40%を占めている。つまり、ごく一部の案件が金額ではかなりの部分を占めているのである。

 次にこの期間の5,000億円以上の案件37件の一覧(図表2参照)をみると、(1)国内所在の金融機関の再編や海外事業売却、(2)通信業界・医薬品業界の再編及びIN-OUT、(3)実質国有化(原子力損害賠償支援機構による東京電力の買収)など、特定の業界・企業に係わるM&Aや特殊な形態のM&Aが数多く含まれている。

(図表1)1件5,000億円以上の案件の合計が件数全体と金額全体に占める割合(年ベース)

(出所)レコフM&Aデータベース

 

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