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2017年9月号 275号
第105回 グローバル組織運営(序論) 有料記事です

 竹田 年朗(マーサー ジャパン グローバルM&Aコンサルティング パートナー)
  仕事柄、クロスボーダーM&Aの範疇を超えて、企業の「平時」の組織運営に関与することも多い。平時とは、例えば買収に起因しない組織再編や事業構造改革、あるいはこのような「改革的なイベント」すらない時のことである。実際には、平時、有事(M&A/PMI)を問わず、彼我のグローバル組織の運営方法には大きな違いがある。彼我の違いと言うのは、海外グローバル企業(MNC:Multi National Corporation)と日本企業の違いのことである。   以上の課題認識をもとに、今回はグローバル組織の運営について解説する。このテーマは深遠で、筆者の中でまだ整理がついていないこともあるため、序論と位置付けて、急ぎ問題提起する。   なお以前より、マーサージャパンM&Aチームの同僚であるプリンシパルの鳥居弘也から、グローバル組織の設計・運営に関して多くの示唆を得ているので、この場を借りて謝意を表したい。なお、本稿の内容については、責任はすべて筆者に帰すので念のため申し添える。 経営のスピード感とは何か   経営の要諦として欠くことができない、とされるものの一つに、「スピード感」がある。つまり、意思決定を早く行い、決めたことを早く実行することが、競合優位を保つうえで非常に重要、という考え方である。実際には、当該意思決定の対象となっている課題のレベルや、求められる意思決定の精度には違いがあるので、図1に2つの例を整理した。もちろん、この2つの中間領域を含めて様々なパターンがあるが、本稿の目的であるグローバル組織運営の彼我の違いを論じるにはこれで一旦足りると思うので、筆を先に進める。   まず、図1の上段から解説する。その典型例は、事業戦略・競争戦略の策定や、事業構造改革である。つまり、企業の行く末と、業績、あるいは企業運営の効率を大きく左右する大問題である。特にグローバルで操業する企業では、規模が大きくて、広大な地域に展開する多様な社員とパートナー企業からなる大集団を動員する以上、意思決定の重要性に一段と拍車がかかる   重大事項であるがゆえに、経営の意思決定の精度を向上させ、慎重を期すのは当然のことである。しかし、その取り組みの姿勢には、典型的な日本企業(過去~現在)と典型的な海外MNCの間に大きな違いがあるように思われる。それを敢えてステレオタイプに表現したものが、図2の3パターンである。

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