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2兆円の巨額買収案件

末包(すえかね) 昌司
(ベインキャピタル プリンシパル・東芝メモリ 取締役)
 2018年6月1日、米投資会社のBain Capital(ベインキャピタル)を中心とする企業コンソーシアムが設立したPangea(下図のブルーの点線で囲った部分)による東芝メモリの買収が完了した。譲渡価格は約2兆円。ベインキャピタルが100%の議決権を持つベインキャピタルSPCが6070億円を出資してPangeaの49.9%の議決権を持つ*ほか、東芝がPangeaに対し、議決権ベースで40.2%相当の3505億円を東芝メモリ売却後再出資。また、HOYAが270億円出資して9.9%の議決権を持ち、日本の2社合わせて50.1%の過半数を占める形になっている。このほか、米IT企業のアップル、デル、キングストンテクノロジー、シーゲイト・テクノロジーの米4社が議決権のない優先株で計4155億円を拠出した。

*ベインキャピタルSPCにはベインキャピタルが2120億円出資、韓国の半導体メーカーSKハイニックスが今後10年間はPangeaの15%超の議決権を保有することはできないとの取り決めのもとに1290億円分の転換社債を含めて3950億円をベインキャピタルのSPCに融資している。



虎の子のメモリ事業売却に追い込まれた東芝

 東芝のメモリ事業の中核であるNAND(ナンド)型フラッシュメモリーは、舛岡富士雄氏が東芝に勤務していた1980年代に発明したもので、スマートフォンのほか、今後データセンターで主力となるフラッシュSSD(solid state drive)*などの需要拡大を背景に高い成長力を持っている。実際、東芝メモリの18年3月期の業績(単体)は売上高1兆2049億円(前年比34.3%増)、営業利益は4791億円(前年比257%増)となっており、東芝でも半導体メモリ事業は営業利益の9割を稼ぎ出す収益の柱といわれてきた。

*半導体メモリの一種であるフラッシュメモリを搭載した記憶装置。HDDと比べると、アクセスが高速で消費電力が低い。

 東芝が虎の子の半導体メモリ事業を売却せざるを得なくなったのは、不適切な会計処理が行われたとして、15年3月期連結決算の公表を6月以降に延期すると発表したのが発端だった。第三者委員会の調査で、不適切な会計処理による修正額は08年度から14年度までで1518億円、業績の下方修正額は2130億円にのぼり、歴代3社長が引責辞任に追い込まれた。

 これに加えて、06年に東芝が買収して子会社となっていた米原子炉メーカー大手のウエスチングハウス(WH)が、買収した米原発建設ストーン&ウェブスターのせいで15年12月に巨額損失を出し、WHは17年3月破産法適用を申請するに至った。これによって東芝は、17年3月期決算で最終損益9656億円と1兆円に近い赤字となり、5529億円という巨額の債務超過に陥って、18年3月末までに債務超過を解消できなければ上場廃止という危機的状態に追い込まれることになったのである。

 17年11月時点で、18年3月末には7500億円の債務超過になると見込まれ窮状の中、18年3月末までに債務超過を解消するためには6000億円の資本増強とともに収益の柱となっていた優良事業の売却による財務改善が待ったなしとなった。すでに優良子会社であった東芝メディカルシステムズは16年にキヤノンに売却(6655億円)されており、債務超過の解消に必要な巨額の売却益が期待できる事業は、半導体メモリ事業以外に残されていなかった。


二転三転した売却先

 そこで、東芝は17年4月1日付でメモリ事業を分社化して東芝メモリを設立、株式の過半数売却を含め17年度のなるべく早い段階での決定を目指す方針を発表。これには、
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[対談・座談会]

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【第84回】ベンチャー企業対象のファンド総額は2008年以降最高額、ベンチャー企業の資金調達額は2000億円を突破

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特集:
M&Aで大胆な事業ポートフォリオの入れ替えを実践する日清紡ホールディングス

及川 厚博(代表取締役CEO)

及川 厚博氏
 M&Aクラウドは2015年12月、及川厚博(代表取締役CEO)と前川拓也(代表取締役COO)によって設立されたM&Aマッチング・プラットフォームの運営会社。

 買い手担当者と売り手をダイレクトに結ぶM&Aマッチングサイト「M&Aダイレクト」を運営、譲渡案件が毎月15社以上登録され、急成長を遂げている。

「M&Aダイレクトは、買収を考えている多くの上場企業経営者やシリアルアントレプレナーを中心に何度もヒアリングを行い、開発したプロダクトです。買い手企業の課題として、買収をしたくても、自分の人脈以外でM&A業者を使う以外に売り手とコンタクトを取れる手段はほぼありませんでした。大手M&A仲介業者からの案件は面談するだけで100万円かかったり、自社の中にM&A人材が育ってきた買い手企業の中には、アドバイザーに最低2000万円もの手数料を要求されたりしてコスト面の不満がありました。また、売り手との間に業者がいることで相手の経営者と本音で語る場が作れないという悩みもあったのです。M&Aダイレクトは、買い手企業自身に社名と買収条件、買収実績をオープンにしてもらうことで、売り手企業が自社に合った買い手をリストアップして担当者に直接問い合わせできるサービスです」と、及川氏。

 及川氏は、
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 永江 剛史(住友林業 新事業戦略開発室長)
 百合本 安彦(グローバル・ブレイン 代表取締役社長)
 司会・構成 池田耕造(編集委員)

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【出席者】(五十音順)
 梯 慶太(日本板硝子 執行役員 グループファンクション 人事部 アジア統括部長 兼 グローバル人事特命プロジェクト担当部長)
 加藤 雅也(日本板硝子 執行役員 社長付特命プロジェクト担当)
 竹田 年朗(マーサー ジャパン グローバルM&Aコンサルティング パートナー)

2018年1-7月のM&A件数と金額

2018.7.31現在 集計
 IN-ININ-OUTOUT-IN合計
件数 (件)1,565
409134
2,108
増加率37.3%8.2%25.2%29.7%
金額 (億円)15,940128,410
69,438
213,789
増加率21.0%184.2%622.7%214.5%
  • ※2017年1-12月の日本企業の
    M&A動向は、こちら
  • ※増加率は前年同期比 [M&Aとは]




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