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2017年10月号 276号(2017/09/15発売)

■「M&A基礎講座」 未上場企業買収後のPMIの実務 ~CFOの視点から~|株式会社エスネットワークス

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[座談会] M&Aにおける第三者委員会の現状と課題

[対談・座談会]
[座談会] M&Aにおける第三者委員会の現状と課題 有料記事です

 岡 俊子(株式会社岡&カンパニー 代表取締役)
 白井 正和(同志社大学法学部 准教授(現教授))
 仁科 秀隆(中村・角田・松本法律事務所 弁護士)(司会)(五十音順)

はじめに 自己紹介 仁科 「今日は『M&Aにおける第三者委員会の現状と今後の課題』と題して、座談会をさせていただきます。2015年6月に、我々3人で共同執筆した『M&Aにおける第三者委員会の理論と実務(商事法務)(以下「本書」という)。』が上梓されてから、約2年が経過しましたが、この間、第三者委員会についての実務が集積され、かつ第三者委員会の在り方や実務に一定の影響を与えるであろう最高裁の決定や社外取締役の定着があったことを踏まえて、議論をアップデートする趣旨でお集まりいただきました。本書は、レコフグループが協賛しているM&Aフォーラム賞の2016年の正賞(RECOF賞)を頂いたのですが、その内容を踏まえながら、今後、M&Aにおける第三者委員会がどうあるべきかに踏み込んで議論ができればと思っています。まず、自己紹介と書籍の執筆部分の概要についてお願いします」 白井 「同志社大学の白井です。商法、中でも会社法の分野を中心に研究・教育に従事しています。本書の最大の特徴は、実際に第三者委員会の委員として活動している実務家と法学研究者との共著という点にあると考えていますが、私の役割は、法理論的な観点から、企業買収の場面における第三者委員会の機能を整理し、提言するということで、第1章『第三者委員会に期待される機能』の執筆を担当しました。   具体的には、まず総論部分として、構造的な利益相反関係のある企業買収の場面においてなぜ第三者委員会の設置が必要となるのか、そうした場面で第三者委員会に期待される役割とは何か、他の利益相反回避措置との違いは何かといった点を、企業買収の場面一般における判断権限の分配構造の観点から考察しました。その後で、各論部分では、MBOや支配株主による少数株主の締出しの場面における現在の法規制および裁判例の内容を紹介し、最後に、第三者委員会の有効性に関する評価基準について、主として米国法からの示唆を得ながら分析・検討しました」 仁科 「弁護士の仁科です。私は企業法務全般、特にM&Aを中心とした弁護士の職務に従事しています。本書では、第2章『第三者委員会に関する実務』で、実際に第三者委員会の委員を努めた経験を踏まえて、第三者委員会がどのように組成され、何をどのように審議し、答申書をどうまとめるのか、といった実務プロセスを時系列でまとめました。第三者委員会の委員を委嘱された人、あるいは第三者委員会を組成する必要が生じた企業の方々の役に立つように意識して執筆したつもりです。ただ、本書全体の特徴という意味では、私と岡さんが第2章・第3章で執筆した実務の部分もさることながら、理論的に第三者委員会はそもそもどう在るべきか、何をやる必要があるのかという、執筆当時は日本ではまだあまり議論されていなかった第三者委員会の行動規範について、第1章で白井先生に執筆頂いた点が非常に大きかったと思います」 岡 「岡&カンパニーの岡です。半年前までは、組織の中でM&Aコンサルティングの仕事をやっていました。具体的には、M&A戦略の立案や、バリュエーションやアドバイザーなどです。今は、個人事務所である岡&カンパニーで、M&Aや経営に関するコンサルティングをやりながら、上場会社4社で社外取締役または社外監査役をやっています。また、大学の非常勤講師として、M&Aを実践的視点から教えています。   私は第3章『取引条件の公正性の検証』を担当しました。取引の公正性が最も問われるのは、取引条件、特に『価格』です。例えば、MBOの場合は、少数株主の利益を図る役割を担うべき取締役が買い手となるため、買い手として安く買いたいという誘惑に晒される。価格こそが人の欲望への感応度が最も高いところですから、第三者委員会の役割の中でも、価格を中心とした取引条件の公正性の検証が重要になります。本書では、具体的には、第三者委員会が財務アドバイザー(FA)や第三者算定機関によるバリュエーション(企業価値評価)に基づく『株式価値算定書』や『フェアネスオピニオン』を活用して、いかに判断するか。その実務などについて執筆しました」 第三者委員会の委員の選任から答申までの実務上の論点 仁科 「本書の概要は以上ですが、中身を逐一ご紹介するわけにはいきませんので、第三者委員会の組成から答申に至る実務の流れの中で、第三者委員会が具体的にどういう活動をするのか、何が論点かについて、簡単に紹介したいと思います。   そもそも、第三者委員会は、MBOや支配株主とのM&Aといった、利益相反構造にあるM&A取引における利益相反回避措置の1つで、他の回避措置に比べても、より強力で独立性の高い存在として位置づけられるわけですが、これをどういう場合に組成すべきか、組成の望ましいタイミングはいつにすべきか、委員会にどんな役割を期待すべきか、そしてその委員の人選はどう在るべきか、などが実務上の主なポイントです。第三者委員会はどういう場合に組成すべきかについては、平成19年の経済産業省のいわゆる『MBO指針』を受け、MBOによる非上場化案件のような典型的な利益相反構造のあるM&Aに限らず、親子上場解消(親会社による上場子会社の非公開化)などの支配株主によるM&Aも対象にすべきではないかといった議論があり、役割については、第三者委員会に何を諮問するのか、買い手との交渉まで委ねるのかという点には特に議論があるところです。そして委員の人選も大事なトピックです。本書執筆当時に比べると、社外取締役を導入する上場会社の割合が大幅に増えましたので、その変化をとらえ、一歩踏み込んだ議論ができればと思っております。それから、委員会の審議の内容も重要です。当然のことながら、企業価値の向上に質するM&Aでなければ第三者委員会として賛成できないわけですが、企業価値の向上といっても抽象的です。実務として具体的に何を審議・確認すべきなのか。また、企業価値の向上というマクロの視点と共に、ミクロの視点で言えば、各株主にとって公正な対価が支払われる必要があるというのも多言を要しないところですが、そこでいう公正な対価とは何か。これらマクロの視点とミクロの視点を踏まえて、最終的に東証の上場規則が求めている『少数株主にとって不利益でない』旨の意見を第三者委員会が具申するために、委員会として何を確認すればいいかが実務上は重要です。そして最後に、いかに答申書としてまとめるかの実務です。   本書ではこうした実務プロセスを時系列にまとめたわけですが、例えばビジネスの世界で経営をされてきた社外取締役や社外監査役の方が急に委員を頼まれると、何をどうしてよいか分からない。そういう方々のための実務ハンドブックになればと思っています」 意外と大変な人選 岡 「まず、実務家として最近最も感じている点をご紹介したいと思います。その一つは、第三者委員会の委員の人選が難しいという問題です。私自身も、少し前に委員を依頼されましたが、その時はビッグ4のある会計事務所グループに所属していましたので、コンフリクトチェックで引き受けられなかった経験があります。第三者委員会の委員にとって不可欠ともいえる法務や会計・税務・財務の知見・スキルを持っている人は、法律事務所や会計事務所あるいはFAファームに属している場合が多く、事務所として何らか別の案件で関わっていると、利益相反が問われてしまいます。第三者委員の委員候補人材マーケットは意外と小さいように思います。   それから、答申書の作成に関してですが、ちゃんと委員自らの手で答申書を作成しているかについても気になっています。レピュテーションを重視する大企業の場合は、名のある大物の先生に委員になってほしいとおっしゃいます。しかしそういう方の多くは、『手が動かない』。答申書を書く作業は、誰かほかの人にやってもらうことを前提としているのでは?と感じることがあります。会社、そしてFAは、答申書の作成を含めて、どういうバックグラウンドやスキルをもった委員の組み合わせの委員会がいいか、組成段階でよく考えたほうがよいと思います」 仁科 「私も、その点は実感しています。有名な人だと、社内の稟議も通りやすいのでそうなるのかもしれません。まさに組み合わせが大事で、そういう有名人だけで組成してしまうと、後で困ってしまうことがあり得る。これは、M&Aに限らず、不祥事系の第三者委員会でも同じようなことが言えるのですが」 白井 「なるほど。第三者委員会の委員候補の人材マーケットが意外と小さいこともあり、また実働部隊として実際に動いてもらう人が必要でもあり、人選は色々と難しいのですね」 第1 第三者委員会に関連する制度の最近の動向 1.ジェイコム事件最高裁決定のインパクト (1)最高裁決定前の判例の情勢 仁科 「第三者委員会に関連する制度の最近の動向として重要なのは、2016年7月1日に出たジェイコム事件の最高裁決定でして、同決定は、これまでの第三者委員会の実務に大きなインパクトを与える可能性が高いと思われます。そこで、最高裁決定で何が変わったのかを確認する意味で、この最高裁決定までの間に出た最近の判例について、白井先生に簡単にまとめていただきたいと思います」 白井 「本書の執筆が終わった2015年1月以降、ジェイコム事件の最高裁決定までの間に出された裁判例の中で特に言及すべきものとしては、東宝不動産事件の地裁・高裁決定(東京地決平成27年3月25日金融・商事判例1467号34頁・東京高決平成28年3月28日金融・商事判例1491号32頁)と、ジェイコム事件の地裁・高裁決定(東京地決平成27年3月4日金融・商事判例1465号42頁・東京高決平成27年10月14日金融・商事判例1497号17頁)が挙げられます。   これら4つの裁判例に共通する特徴は、公開買付け前置型の構造的な利益相反があるキャッシュ・アウトの事案において、公開買付け(TOB)の時点からキャッシュ・アウトの効力発生時点までの間に株式市場全体が高騰した場合に、裁判所は、株式市場全体の高騰を勘案した補正を行い、たとえ公開買付価格の算定手続において意思決定過程の恣意性を排除するための十分な措置がとられていたとしても、補正を踏まえた公開買付価格よりも高い価格をもって『公正な価格』と決定すべきかどうかが争われたという点です。東宝不動産事件の地裁決定とジェイコム事件の地裁・高裁決定はこのような補正を認めたのに対し、東宝不動産事件の高裁決定はこのような補正を否定していて、下級審裁判例において判断が大きく分かれていました。   学説上は、このような補正を認めると、株主が機会主義的な行動をとる可能性があることなどを理由に、補正に反対する見解が多数だったと思います。すなわち、このような補正を認めてしまうと、とりあえずは少数株主は、キャッシュ・アウトを実施するための株主総会決議、例えば全部取得条項付種類株式の全部取得の決議に反対しておいて、その後、取得価格決定の申立期限までの間に株式市場全体の相場が大きく上昇し、それに伴って、公開買付価格を上回る価格を裁判所が『公正な価格』として決定してくれると期待できるようになった場合には、株式取得価格の決定を申し立てることによって、いわばリスクのない投機をすることが可能になるという問題が指摘されていました」 仁科 「実務的には、一段階目の公開買付け(TOB)に対して対象会社の取締役会が賛同意見や応募推奨意見を表明するに際して、二段階目に行われる非公開化の取引まで包含した1つのM&Aと捉え、これに対して第三者委員会が、当該M&Aが『少数株主に不利益でない』旨の答申をするのが普通です。ところが、この取引に対してその後のマーケットの事情を斟酌して裁判所が価格を補正するようなことが続くと、第三者委員会はそのような傾向を踏まえても『少数株主に不利益でない』旨を答申できるのか。将来価格が裁判所によって補正される前提で価格の妥当性を考えなければならないとすると、第三者委員会は不可能に近いことを強いられることになるので、賛同に躊躇するようなケースもありそうで悩ましいと思っていたところです」

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第2部 経営企画

[「M&A基礎講座」 未上場企業買収後のPMIの実務 ~CFOの視点から~]
第2部 経営企画 第4回 PMIにおける「予算編成」の必要性

 熊谷 伸吾(株式会社エスネットワークス 経営支援第1事業本部 副本部長 兼 Esnetworks Asia Global Pte. Ltd. Director)
1.はじめに   今回の連載企画は、「上場企業または、プライベート・エクイティ・ファンド(以下PEファンド)が未上場企業を買収した」という前提で進めさせていただいています。   この前提において、第1部で述べた「財務経理」については、一部の対象企業では必要十分な財務経理体制を構築できていることが稀にありえます。一方で、筆者の経験上、上場企業やPEファンドが本当に満足する予算が作成されていたり、経営企画機能を有しているというような企業は、過去に上場企業であったなどの事例でない限りほぼ100%ないという感覚があります。   上場企業である親会社マネジメントやPEファンドはオーナー経営者と異なり、当該事業に24時間注力するわけではありません。したがって、彼らは事業をできるだけ科学的にコントロールするために「予算」というツールを使うことを求めます。予算には、結果としての売上・利益といった数字だけでなく、その数字の根拠となる活動も含んだ総合的な対応となります。そのため、予算編成という業務は、今まで暗黙知であったものを見える化するとともに、会社の価値と可能性・成長性を再発見するという意味を持った取り組みともいえます。 2.予算編成と予算統制の関係   まず、「予算編成」と「予算統制」について、以下のように用語を定義させていただきます。     予算編成(図1):毎年一定の時期に、来期1年分(又は中期)の予算を作成すること     予算統制(図2):予算編成で作成した予算について、毎月実績値の検証を行っていくこと   すなわち、「予算編成」という年に1度のイベントで作成した『予算』を、「予算統制」によって毎月運用して経営に活かしていくという関係にあります。  また、予算編成および予算統制を統括する部署や機能を本企画では「経営企画(部門)※」として名称を統一させていただきます。 ※一般には経営戦略、経営企画、業務戦略等の名称で呼ばれることが多い 【予算編成】 3.現状予算の確認(「統制」の確認も含む)   PMIでCFOとして新予算編成を実行する場合は、当然ですが、会社側が現状作成している予算管理の状況を確認します。その場合のポイントは以下になります。 (1)必要十分性  ① そもそも予算そのものが存在しているか  ② 売上予算のみか、P/L全体としての予算か  ③ P/Lと連動した、B/S、C/F予算が存在するか (2)粒度 ① 予算科目が十分に区分されているか   ② 複数部門、商材がある場合、部門/商材ごとに作成されているか   ③ 売上・原価において、「結果KPI」 ※ と予算数値が1対1で対応しているか   ④ フロント部門で「結果KPI」と「活動KPI」の連携がとれているか     ※ KPI(Key Performance Indicator)は、財務数値等の最終目標を達成するための中間指標であり、その中でも活動KPIと結果KPIに分類できる。 例えば「売上高」というのは最終目標であるが、その元となっている「契約顧客数」「顧客単価」は結果KPIであり、更にその元となった「訪問回数」「提案回数」等は活動KPIといえる。     活動KPI: 顧客訪問回数、セミナー実施回数といった「直接コントロール可能な」指標   結果KPI: 受注件数、受注単価といった「活動KPIの結果として出てくる(直接コントロールは難しい)結果」指標 (3)正確性(検証性)  ① 予算作成の基となった計算資料が存在するか  ② 直近の実績との乖離はどうなっているか (4)認知度  ① 少なくとも管理職以上に予算数値や内容が浸透しているか  ② 認知の結果、予算実行のための全社一体での活動がなされているか (5)権限と責任  ① 予算遵守の責任と権限が明確になっているか  ② 予算責任が管理者の評価と紐づいているか(暗黙でも) (6)作成と運用  ① 予算を管轄する専任担当又は部署が存在するか  ② 毎月予算と実績の分析を行っているか   これらは、一般的にPEファンドが最終的に予算編成の際に求めてくるものです。また、上場企業においては買収先の重要度等によって求めるレベルは異なってきます。どちらにしろ、未上場企業で上記全てに対応している企業は存在しないと思われますので、新任CFOとしては現状を早期に把握し、新株主の意向を満たした予算をどのように編成するかの検討に入る必要があります。   とはいえ、前段で申し上げたように未上場企業に予算は「無くて当たり前」であるため、3.での現状予算の確認プロセスより前の工程であるPMIスケジュール構築段階で、あらかじめ予算編成に必要な時間とリソースを確保、想定しておくことが肝要になります。   余談ですが・・・ [ 続きをご覧いただくには、下記よりログインして下さい ] ■株式会社エスネットワークス ■筆者略歴 熊谷伸吾(くまがい・しんご) 東京大学卒業後、株式会社エスネットワークスに入社。2017年より在シンガポール。シンガポールをハブとして、国内外のPMI(合併・買収後統合実務)、管理機能BPR(ビジネスプロセスの設計/改善)を主に実行。過去に税務(税理士資格は過去に返上)、人事労務、IPO業務の責任者も経験。会計財務だけでなく、幅広い分野でクライアントにアドバイスを実施。IFRS、デューデリジェンス、Valuation等の経験も豊富。日本公認会計士。 [関連記事] 【エスネットワークス】 M&A後に必要な現場力を常駐支援で提供して戦略実行を実現する(マール 2015年12月号)    

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【第86回】【キーストーン・パートナース】3号ファンド(300億円)の投資ターゲット

[Webインタビュー]
【第86回】【キーストーン・パートナース】3号ファンド(300億円)の投資ターゲット

 堤 智章(代表取締役)
PEファンドへの出資に積極的な金融機関 ―― 「リバイバルスポンサーファンド参号投資事業有限責任組合(以下3号ファンド)」を総額300億円で最終クローズしましたね。 「当初の計画では2017年4月をめどに考えていたのですが、3月に募集金額が満額になったので予定より早くクローズしました」 ―― 1号、2号ファンドはそれぞれどのくらいの規模でした? 「1号は2010年92億円で、2号は13年154億円です」 ―― LPは金融機関が主体ですか。 「半分が企業年金基金、半分が生命保険、地方銀行などの金融機関です」 ―― 最近、設立されるPEファンドの募集規模が大きくなっていますが、1号ファンド設立の当時と比べて募集環境が変わってきているということは言えますか。 「たしかに変わってきています。3号のファンドが順調に集まった理由は、1つはゼロ金利ですね。企業年金基金は運用利回りが低迷する国内株式や低金利が続く国内債券への投資の代替手段として、安定的に相応のインカムゲインが見込めることからPEファンドへの出資に前向きになっています。それに加えて、金融庁が地銀に対して収益性を重視する指導を行っているということもあって、一昨年ぐらいから地銀に関してもPEに対する出資に対して積極的な姿勢が見られます」 インバウンド増加を背景としたホテル業界に注目 ―― 2号ファンドでは化粧品の訪問販売大手エイボン・プロダクツなどへの投資がありましたが、3号ファンドについてはどのような投資戦略を持っていますか。 「我々は必ずマクロ経済の流れのなかで、投資期間中に成長する業界を選んで投資対象を決めるようにしてきました。  2号ファンドで化粧品会社への投資を行ったのも、2016年の化粧品輸出額が日本で初めて輸入を超えたというマクロの変化が背景にあります。中国を中心としたアジアに向けた日本製の化粧品輸出が拡大しているのです。ということは・・・  

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[座談会]日本のガバナンス改革の進展と戦略的企業買収の行方――王子製紙事件から10年、提案型TOBはどうなるのか

[対談・座談会]
[座談会]日本のガバナンス改革の進展と戦略的企業買収の行方――王子製紙事件から10年、提案型TOBはどうなるのか 有料記事です

 田中 亘(東京大学 教授)
 ニコラス・ベネシュ(公益社団法人役員育成機構 代表理事、在日米国商工会議所成長戦略タスクフォース 委員長)
 川村 尚永(経済産業省 経済産業政策局 産業組織課長)
 司会・編集 川端 久雄(編集委員、日本記者クラブ会員)

<はじめに> ―― 日本のコーポレートガバナンス改革はこの1、2年で大きく進展しました。2015年が元年と言われ、今年はその2年目に当たります。ガバナンス改革(企業統治改革)の狙いは、日本企業の稼ぐ力の回復、日本経済の再生にありましたが、一連の改革により企業買収やM&A全般を取り巻く環境も変わっています。   一方、M&Aに目を転じると、2015年は世界的にM&Aがブームとなりました。製薬業界やビール業界で巨大企業が誕生しています。日本も海外M&A(IN-OUT)が過去最高となり、トータルの金額も過去2番目の額になりました。日本も一見、活況を呈しているように見えますが、欧米と比較すると質量ともまだ低調です。敵対的TOBに代表される提案型TOBがもっと活発になれば、日本のM&Aはさらなる飛躍を見せるのではないでしょうか。   折しも、2016年は王子製紙(現王子ホールディングス)が北越製紙(現北越紀州製紙)に対し敵対的TOBを試みたものの、失敗に終わってからちょうど10年目になります。   今だったら、王子のような敵対的TOBは成立するのか。ガバナンス改革により、日本の企業買収はどのような影響を受けるのか。さらに提案型TOBを促進するため、日本の買収法制などを見直す必要があるのか。   本日は、第1部で企業買収の観点からガバナンス改革の経緯、狙い、到達点を整理するとともに、今後のガバナンス改革の方向性についてもお話をしていただきます。続いて第2部で日本のM&Aの現状、敵対的TOBの意義、王子・北越事件とその後、提案型TOBの可能性、買収法制について日本が進むべき道などについてご議論をしていただきます。   田中亘東京大学教授は会社法と企業買収法制についての第一人者です。ニコラス・ベネシュ公益社団法人役員育成機構代表理事は、日本のコーポレートガバナンス・コード策定の影の功労者と言われています。川村尚永課長は日本の産業組織の改善などの担当課長で、金融庁「スチュワードシップ・コード及びコーポレートガバナンス・コードのフォローアップ会議」のメンバーなども務めておられます。

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資本コスト再考

[視点]
資本コスト再考 ~買収における割引率についての再整理~ 有料記事です

 鈴木 一功(早稲田大学大学院経営管理研究科(早稲田大学ビジネススクール)教授)
  企業買収において、企業価値評価は今や不可欠の実務となった。しかしながら、実際に実務家から相談を受ける中で、資本コストとは何か、という概念が、正しく理解されていないのではないかという懸念を持つことが度々ある。そこで本稿では、そもそも資本コストとはどのような数値なのか、そして、どのような理屈に基づいて、その計算をすべきなのかについて、再度整理しておく。本誌の読者の多くには、釈迦に説法かもしれないが、再確認ということで、ご一読頂ければ幸いである。   まずは2つほど、事例を挙げよう。   1つ目の事例は、某多国籍企業(日本企業)の元CFOの方との会話で気付いたことである。海外事業の評価(EVA的なもの)の際に用いている資本コスト(筆者の意図としては、WACC)に、どのような数値を用いておられるのかをお尋ねしたら、全世界一律に、日本における資本コストを使っておられると即答された。その理由としては、日本において世界中の資金調達を一括して行っているので、資本コストは当然日本のものとなる、ということだった。   2つ目の事例は、M&Aの現場で散見される以下のような考え方である。買収の際に、ディスカウント・キャッシュフロー法(DCF法)を用いて売手企業の企業価値評価をする際に、買手の資本コスト(および買手のベータ値)を用いて、キャッシュフローを割り引いて企業価値を求めるという考え方である。その理由として、買手が調達した資金が、売手の資産の獲得に活用されると考えられることが述べられる。

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第103回 買収先経営者の成長志向と付き合い方の設計(上)

[ポストM&A戦略]
第103回 買収先経営者の成長志向と付き合い方の設計(上) 有料記事です

 竹田 年朗(マーサー ジャパン グローバルM&Aコンサルティング パートナー)
  株主から見た経営者とはどのようなものかというと、期待役割の内容、大きさ、複雑性などから「求める人材の要件」を定め、適材を探して任命し、あるいは新たに雇い入れる対象である。買収先経営者の場合でも、単に買収時にはそこまでする時間がないために現任者のリテンション策を講じることが多いだけであって、考え方は同じである。つまり、今後、より適した人材と交代させる可能性が常にある。   一方、買収先経営者にしてみると、リテインされれば、通常は自分がこれまで経営してきた事業を継続して経営し、伸長することが期待されるため、よほど嫌でない限りは「当面=1年ないし2年程度」続投し、その間にその先のことを考えるのは、そう悪い話ではない。個人のキャリアの段階や志向性はさまざまで、買い手とうまくやれるかどうかも、実際にやってみないことにはわからないからである。   このように、買収先経営者個人と会社の関係は、一旦は設定せざるを得ないが、その後は相互に見直しが入るものである。この中で、経営者の適材適所と適材経営者のリテンションがどのようにうまくデザインできるのか、経営者が持つ成長志向や成長願望にも触れながら、解説したい。 経営者市場と経営者の成長志向   日本企業が行う海外買収の対象は、大きく2つのパターンに分けられる。まず、すでに企業の体を成している場合である。創業者色が消えて久しく、かなりの大企業となっている場合を含む。創業者がまだ実態的に、あるいは象徴的に企業を牽引している場合でも、組織によって事業を運営しており、創業者を助ける経営者が育成・内部登用され、あるいは外部から採用されている。本稿では、こちらのパターンについて述べる。   もう一つは、企業というよりは創業者の個人商店が大きくなったものである。重要な部分に革新性や工夫がちりばめられ、高いレベルの事業運営や業績達成ができている場合もあるが、ほとんどの場合で事業規模はさほど大きくない。しっかりとした組織体制と経営の仕組みなしには、通常は規模が維持できないからである。こちらのパターンについては、次回連載で述べる。   経営者市場が有効に機能する、つまり市場により需給が充足され、報酬等が適切に条件設定されるのは、前者の大企業中心の企業社会の方である。経営者を目指す人材は、内部昇格に必要に応じて転職を組み合わせ、キャリアの階段を上がっていく。具体的には、より大きな役割と責任・権限を獲得し、これに伴ってより高い認知と、より大きな報酬機会を追求する。   経営者市場が機能している国、あるいは経営者市場の概念に基づいた経営幹部人材マネジメントを行う企業(成長途上国でもそのような企業は多い)では、大会社のシニアマネジメントは職責が大きく、それ相応に報酬も高く、その水準は日本の通念を上回る(本連載第81回「グローバル企業の人材マネジメント」(下)参照)。そして、それが優秀な人材を経営者という職業に惹き付け、本人はキャリア・アップ、つまり、同一企業内ではより高いポジションへの異動を、またはより大きな事業・企業への移動を目指す動機づけを得る。   買収先経営者とて同じ経営者であり、原理的には成長機会というものに惹き付けられる。ただし、個人の置かれた状況について場合分けをきちんと行う必要がある。 経営者の志向性と経営者への期待   経営者は上昇志向が強い、などと一言で言ったところで、通常は自分がうまくやれる可能性(「勝ち目」)を考えながら、その上昇志向なるものの具体的内容を、自分のプライドが満たされる地点と現実との間を行ったり来たりしながら適切に定めることになる。つまり生身の人間で、生活もあるから、あまりドン・キホーテのようなマネはしないのが普通である。そのため、今は目の前の機会を取るしかないが、より良い機会が出てきたら乗り換えるのに躊躇しない、という判断が(本人はそんなことは絶対に言わないが)頭をもたげるのである、他方で、本人がその乗り換えを考えるのをしばらく抑止しようというのが、買い手が付与するリテンションプランの狙いである。   買い手の期待値は、本人が買収前から経営してきた事業を引き続き牽引し、一段と飛躍させることである。それは一体どんな内容の飛躍で、どのくらいの飛躍なのか、というのは、買収ストーリーやシナジーの想定、現状改善の機会、そして買収価格(支払ったプレミアム)で決まる。決まりさえすれば、経営者から見たやりがい・面白さや達成難度、そして期待報酬との見合いもはっきりしてくる。   成長機会の点からも報酬・処遇の点からも、本人にとってまたとないチャンスに思える場合は、あまり問題がない。しかし、大変さや割に合わない感覚が先に立ち、本人が到底心からやりたいとは思えない場合も考えられるので、以下の①②③でもう少し説明する。

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ワールドホールディングス

[データファイル [注目企業のM&A戦略を追う]]
ワールドホールディングス 時代の波を捉え事業領域を拡大し、総合力の向上を目指す ~M&Aも活用し、安定した事業成長へ~

1.はじめに  福岡市に本社を置き「人材・教育ビジネス」、「不動産ビジネス」、「情報通信ビジネス」の3事業をコアビジネスとしているワールドホールディングス(以下、ワールドHD。東証1部上場)の業績が好調だ(図表1、図表2参照)。2016年12月期まで7期連続の増収、6期連続の増益を達成。2011年12月期に378億9200万円だった売上高は5年後の2016年12月期には2.5倍の943億3400万円となっている。 (図表1)ワールドHDの事業別概要 (図表2)ワールドHDの業績推移  ワールドHDの前身である旧ワールドインテックは、1993年に人材ビジネス事業会社として設立された。2005年にジャスダック証券取引所に上場し、その後、M&Aにより情報通信ビジネスに参入。2010年には不動産ビジネスに進出し、事業の多角化を進めてきた。M&Aを活用して人材とノウハウの「種」を買い、育てることで、グループ全体の成長スピードを加速させてきたワールドHDは、2014年には持株会社体制に移行し、3つのコアビジネスのさらなる成長と新たな事業領域の確立を掲げる。その一環として、2017年2月には農業公園の運営管理を手がけるファーム(愛媛県西条市)を買収し、同社を中心に新しいセグメントの確立に挑戦している。  最近では2016年3月に東証2部に市場変更、そのわずか3カ月後の6月には東証1部に指定替えとなり注目を集めた。ジャスダック上場を契機にM&Aも活用しつつ周辺事業への進出や営業エリア獲得により事業規模を拡大させてきた同社のこれまでの歩みを追う(図表3)。 (図表3)ワールドHDの主なM&A 2.沿革~M&Aにより事業領域を拡大 (1)人材ビジネス会社としてのワールドインテック設立  ワールドHDの前身であるワールドインテックは、伊井田栄吉会長兼社長が1993年に福岡県北九州市で設立した。  もともと、伊井田会長兼社長は1981年にみくに産業(現・ミクニ。ワールドHD子会社)という不動産会社を設立し経営していたが・・・  

2017年1-8月のM&A件数と金額

2017.08.31現在 集計

  IN-IN IN-OUT OUT-IN 合計
件数 (件) 1,338 442 128 1,908
増加率 11.3% 9.4% -3.0% 9.8%
金額 (億円) 11,692

55,580

10,274 77,547
増加率 -54.1%

-9.7%

-43.0% -26.2%

 *2016年1-12月の日本企業のM&A動向は、こちら

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