マール最新号

特集

M&A関連法制等の動向と実務への示唆 [2016年版]
2016年12月号 266号(2016/11/15発売)

M&Aに関する調査分析レポート「MARR2016」(M&Aレポート2016)を発売いたします。業界動向分析、マーケット動向分析、M&A統計(表とグラフ)、アンケート調査の4部で構成されています。マーケット動向、業界動向、日本企業のM&A戦略などが一目瞭然です。また、アンケート調査では、M&Aのプロフェッショナルから見た2015年に印象に残ったディール、M&Aを効果的に使っている事業会社、2016年に活発化すると予想される業界などについて興味深い結果がでています。M&Aの実務者、研究者の方々に加え、事業会社の経営者、経営企画部、M&Aの実務者、研究者を目指しておられる学生の皆様の必携品です。

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PMIにおける海外子会社管理の処方箋

[M&A戦略と法務]
PMIにおける海外子会社管理の処方箋 ~グローバル人事制度・グローバル内部通報制度導入を契機として~ 有料記事です

 大井 哲也(TMI総合法律事務所 弁護士)
1 はじめに   日本企業が海外の会社を買収し、グローバル展開を図る一方で、海外子会社の経営状況を適切に把握し・管理できないなど、PMIが十分に実行されずに、日本の親会社とのシナジーを生まないケースや、海外子会社の経営管理が、派遣された日本人社長任せになっており、日本の親会社が、ほとんど管理に関与できない状況となっているケースが散見される。さらには、ケースによっては、むしろ海外子会社が、親会社から独立した法人となり、親会社が管理しようとしても海外子会社の情報が取れない事態や、情報が取れたとしても、親会社からの経営指導に従わないなど、海外子会社の管理が難航する実態も見られるところである。   この背景には、日本の親会社とのカルチャーの違いや言葉の壁、地理的要因に基づく情報フローの停滞といった阻害原因があると思われる。もとより日本企業同士のM&Aにおいても、M&A当事会社がシナジーを発揮し、互いの競争力を融合し合うことは一筋縄ではいかないが、これが日本企業と海外企業となれば、両者のギャップが増幅され至難の業となる。   本稿では、買収後の海外子会社のPMIの困難性を打開する方策としての、グローバル人事制度と、グローバル内部通報制度を紹介し、それらの制度の導入の法的プロセスを説明するものである。 2 グローバル人事制度 (1) グローバル人事データベース   M&Aにおいては、いわゆるPMIとして対象会社である海外子会社の人事情報を精確に把握することで、人事交流を図り、より実効的なシナジー効果を期待できる。   例えば、システム開発ベンダが、従前から主要な外注先であったイスラエル所在のソフトウェアハウスを関係強化のために買収し、子会社化したケースを想定する。買収前は、あくまで外注先としてシステム開発の一部を受託するだけの機能を担っていたソフトウェアハウスであったが、買収後は、人事交流により大きなシナジーを発揮することがある。   グローバル人事データベースを構築することにより、英語が話せ、かつ、システム開発のプロジェクト・マネジメントの役割も果たせる人員を条件として、人材発掘(タレントマイニング)をすることが可能となる。このような才能ある人員を日本国内の子会社だけでなく、グローバル規模で人事交流し、適材適所の人員配置が可能となる。

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【第2回】儲けはキャッシュフローがベース

[西山先生のM&A基礎講座 [企業価値評価とコーポレートファイナンス]]
【第2回】儲けはキャッシュフローがベース

 西山 茂(早稲田大学大学院(ビジネススクール)教授 公認会計士)
 第1回では企業価値や株主価値の意味と評価方法について学んできました。その中で取り上げた理論的な企業価値の代表的な評価方法の1つであるDCF法では、将来企業が事業から生み出すキャッシュフローを評価のベースとしていました。またDCF法のベースとなっているファイナンスの理論においても、投資プロジェクトを評価する場合をはじめとして儲けのベースはキャッシュフローと考えています。今回は、このキャッシュフローについて学んでいきます。 1. なぜキャッシュフローで儲けを測定するのか  投資家の立場から見た企業価値の評価方法の中心であるDCF法、またその前提となるファイナンスの考え方の中では、利益ではなくキャッシュフローを儲けのベースと考えています。これはなぜでしょうか?  これは、利益という儲けのモノサシが生まれた理由を考えると分かりやすいと思います。そもそも企業はキャッシュを集めキャッシュを投資するなど、キャッシュをベースに活動しています。したがって、本来はキャッシュの動きを表すキャッシュフローが、裏付けがありまた企業の実態を表わすという意味で、最も適切な儲けのモノサシと考えられます。しかし企業が長く活動していく場合には、1年といった一定期間ごとの途中経過についての業績の報告も求められます。その場合、キャッシュフローは若干問題があります。例えば、何年かに一回大きな投資をするような企業の場合は、投資をした年には投資のための支払いによってキャッシュフローは大きなマイナスとなり、その後は投資に関係する支払いがなくなるのでキャッシュフローはプラスに回復し、その後また投資をすると大きなマイナスとなる、ということを繰り返すことになります。そうするとそのキャッシュフローの動きを見た人が、この企業は何年かに一度大きな問題が発生しキャッシュフローがマイナスになる危険な企業だ、と誤解をする可能性があります。実際は、たまたま数年に1回投資をしているだけで、毎年まったく同じような活動をしているにも関わらず・・・。そこで、誤解を招かないように、一定期間における途中経過を適切に表すような儲けのモノサシが必要になります。それが利益です。利益は、例えば設備投資の金額をその設備が使える期間にわたって割振っていく減価償却をはじめとして、いろいろな調整をして、一定期間にこのくらいのキャッシュフローにつながるような儲けを生み出したはずだ、というものをある仮定で集計したものです。別の言い方をすると、一定期間の企業の儲けを、できるだけ実態を反映した形で誤解を受けないように、いろいろと調整して集計したものです。したがって、利益は1年、半年、四半期といった一定期間の報告における儲けのモノサシとしてはより実態を表わしており、より適切なものと考えられます。しかし利益はキャッシュの裏付けはなく、キャッシュフローとはズレがあります。  一方で、DCF法による企業価値評価・・・ ■西山 茂(にしやま しげる) 早稲田大学政治経済学部卒業。米ペンシルバニア大学ウォートン校よりMBA取得。早稲田大学より博士号取得。監査法人ト-マツ等にて会計監査、株式公開コンサルティング、M&A支援、人材育成などの業務に従事。 2002 年から早稲田大学で教鞭をとり、2006年から現職。会計や財務といった数字をベースに理論と実務の両面から経営を考える授業やゼミを担当している。国内主要企業の監査役を歴任。会計・財務に関する著書多数。公認会計士。 ※詳しい経歴はこちら  

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【第75回】NHC安東会長兼社長が語る「『さが美』TOB提案の顛末とM&Aにおける取締役の役割」

[Webインタビュー]
【第75回】NHC安東会長兼社長が語る「『さが美』TOB提案の顛末とM&Aにおける取締役の役割」

 安東 泰志(ニューホライズンキャピタル 会長兼社長)
アスパラントグループに売却された「さが美」 ―― ユニー・ファミリーマートホールディングス(以下ユニー・ファミマHD)は2016年10月11日、同社が保有する呉服店子会社さが美の株式をアスパラントグループが運営する「AG2号投資事業有限責任組合(AG2)」に、TOB(株式公開買付:10月11日が期限)によって売却したと発表しました。さがみの買収については、ニューホライズンキャピタル(NHC)が運営する「ニューホライズン2号投資事業有限組合(NH-2)」がより高い価格で買い取ることを表明していましたが、ユニー・ファミマHDは、10月11日の取締役会で改めてアスパラントへの売却を決議しました。  NHCの提案を退けた理由については、報道によると、①アスパラントとNHCの提案を比較すると、買収額ではNHCが上回るものの、信頼関係がない中で売却しても、さが美の企業価値を向上できるか疑問、②さが美の賛同表明がなくてもNHCはTOBを実施できたはずだが、NHCはTOBを行わなかったから――となっています。  この決着について、コーポレートガバナンス・コードの導入などで取締役会の機能強化が求められる中で、その責任を果たしたのかどうか疑問の声も出ています。そこで、安東会長に今回のさが美に対するTOB提案を行った経緯と、提案を退けられた理由に対する反論などについて、うかがっていきたいと思います。  「まず申し上げたいのは、NHC及び当社が管理運営するNH-2は、16年9月23日付でユニー・ファミリーマートHDに提出した申入書、並びに同年9月30日付で同社に提出した改訂申入書の内容について、同社に対して迅速に諸手続を進めるよう繰り返し依頼しておりました。しかし、ユニー・ファミリーマートHDとの間では何らの実質的な協議の場が持たれず、また、さが美との間では一切の協議の場が設けられることのないまま、ユニー・ファミリーマートHDによる10月11日付のプレスリリースによって、当社案ではなく、アスパラントが運営するAG2が実施するTOBに応募したことを我々は知ったということです。これは、非常に礼を失した対応だと思います」 「条件面ではるかに優れた内容だった」 ―― 簡単に経過を振り返りますと、16年8月17日にユニー・ファミマHD(当時はユニーグループ・ホールディングス)はさが美の保有株(発行済み株式の約54%)をアスパラントに売却すると発表しました。その後、アスパラントは18日から1株56円(注)でTOBを始めました(買い付け期間8月18日~10月11日)。これに対してNHCは9月23日に70円でのTOBを提案、さらに30日に90円に引き上げたのですが、ユニー・ファミマHDは10月11日、AG2へのさが美株売却を採用し、NHCを退けた形になりました。  まず第1の理由として挙げられている「信頼関係がなかった」という点についてはいかがですか。  「我々は、さが美とは07年頃にさが美のアドバイザーを通じて事業の構造改革に関する意見を聞きたいという要請を受けて、さが美経営陣との間で同社の経営改善策についての意見交換をしています。NHCがかつて着物の卸会社の市田を再生させた実績を持っていたからだと思いますが、そうした意見交換を行った後も、さが美の経営陣とは公私にわたる深い交流がありました。その後、構造改革について意見が一致した改善事項を踏まえて、15年7月にはさが美の取締役に対し、さらに、同年12月には旧ユニーグループ・ホールディングスの取締役に対して、きわめて現実的な再生案を提示しています。この時の提案書では、仮にM&Aを行う場合について、株式と債権の扱いに関する条件として、『ユニーが保有するさが美株式の一定割合を1株75~100円で買い取ること、債権放棄を求めないこと』となっていて、この時点で、すでにAG2案よりも条件面ではるかに優れた内容であったと思っています」 ―― アスパラントが16年8月に結んだ契約では、さが美株について、旧ユニーグループHDが保有する全株2199万4126株(発行済み株式数の53.86%)をアスパラントに1株56円でTOBに応じるほか、さが美に対する額面34億円の貸付債権のうち16億円を放棄した上で額面18億円の貸付債権を譲渡するという内容でした。NHCの提案では当初、債権放棄を求めないという内容だったのですか。  「そうです。さが美には純資産が約50億円ありましたから、債権放棄の必要はないというのが我々の提案でした。しかし、その後AG2によるTOBの期限も迫ってきましたので、『貸付債権のうち16億円を放棄した上で額面18億円の貸付債権を譲渡する』という条件をAG2の提案にそろえ、さらに5億円の資金調達への協力を加えた上で、最終的には買い取り額を、時価(3・6カ月平均株価)を上回る90円としたのです」 ―― さが美は、ユニーの店に出店していることから、NHCの再生案でユニーに出店しているさが美の店舗の削減策があったため、ユニー・ファミリーマートHDとしてはNHCの提案を飲めなかったということはないですか。  「当社から出した提案書にはリストラについては1行も書いてありません。先ほどお話した15年12月に出した再生案には店舗の削減策等も入っていましたが、これについては、さが美が16年3月に『事業構造改革の実施について』を策定し、22店舗の不振店の閉鎖などを含めたリストラ計画を実施していましたから、これ以上の削減策は必要なかったし、当社の今回の再正案では逆に雇用の確保を盛り込んだくらいです」 なぜ、対抗TOBを行わなかったのか ―― NHCの提案を退けた2つ目の理由、さが美の賛同表明がなくてもNHCはTOBを実施できたはずだが、NHCはTOBを行わなかったではないかという点についてはどうですか。  「決定的な理由は…  

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[座談会] 敵対的企業買収の到達点と今後の課題

[対談・座談会]
[座談会] 敵対的企業買収の到達点と今後の課題 ― 企業価値報告書、買収防衛策指針から10年、日本が進むべき道 有料記事です

 神田 秀樹(東京大学 教授)
 岩倉 正和(西村あさひ法律事務所 弁護士、一橋大学大学院国際企業戦略研究科 教授)
 石綿 学(森・濱田松本法律事務所 弁護士)
 司会・編集 川端 久雄(編集委員、日本記者クラブ会員)

<はじめに>   2005年は日本のM&Aにとって記念すべき激動の年でした。まず、ライブドアによるニッポン放送への市場買付けによる敵対的買収で幕を開けました。この事件を巡る司法判断があり、その後、経済産業省・企業価値研究会の報告書、同省と法務省の買収防衛策指針、会社法成立といった制度面での進展がありました。さらに、上場企業同士の初の公開買付け(TOB)による敵対的買収も行われました。2015年はそれからちょうど10年の節目の年になります。   この間、日本企業にも米国を参考にした事前警告型の防衛策が浸透する一方、相変わらず高い安定株主比率を維持する企業も見受けられます。TOBによる敵対的買収は王子製紙などが挑戦しましたが、敵対的買収と呼ぶのに相応しい案件はあまり成立していません。上場企業同士では1件だけです。逆に、投資会社などが制度の穴を突いて、敵対的TOBの足を引っ張るような動きもみられます。経営に規律を与えるという敵対的買収の本来の機能が日本では生かされていないようです。   ところで、最近は、日本経済の再興のため日本企業に対して、経営の規律を求める声が一段と高まってきています。会社法改正で社外取締役の強化が図られたほか、コーポレートガバナンス・コードも導入されます。こうした状況を踏まえると、もう一度、経営に規律を与える敵対的買収の意義を考えてみる必要があるように思われます。日本の敵対的買収の状況はどうなっているのか。今の状況は良いのか、良くないのか。良くないとしたら、制度などを改善する必要があるのか。日本の企業買収法制は、2005年の防衛策指針の策定、翌年の公開買付規制の改正で一応、形を整えていますが、どちらも当時、緊急に整備を図ったものと言われていました。その後、英国など欧州法制の研究も進み、防衛策の原則禁止と強制公開買付制度を中心とする英国型を支持する見解も有力に主張されています。   本日は、日本の企業買収法制をリードされてこられた神田秀樹教授、実務で敵対的買収の攻防などを担当された岩倉正和弁護士、石綿学弁護士にお集まりいただきました。この10年を振り返りながら、今後の日本の買収法制のあり方について議論をしていただきます。

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【第3回】投資家が期待する儲けのレベルは? - 資本コストとWACCについて

[西山先生のM&A基礎講座 [企業価値評価とコーポレートファイナンス]]
【第3回】投資家が期待する儲けのレベルは? - 資本コストとWACCについて

 西山 茂(早稲田大学大学院(ビジネススクール)教授 公認会計士)
 第2回で見てきたように、投資家から見たDCF法による企業価値の評価やコーポレートファイナンスの考え方の中では、キャッシュフロー、中でもフリーキャッシュフローを儲けのモノサシと考えています。そのフリーキャッシュフローをベースとして、投資家はどの程度の儲けを期待しているのでしょうか?今回は、投資家の期待している儲けについて学んでいきます。 1.投資家の期待する儲け(資本コスト)とは何か  投資家、つまり企業に資金を提供している債権者や株主が期待している儲けとは何でしょうか?銀行をはじめとする企業に資金を貸している債権者は、資金を貸すことの見返りとして金利の支払いを求めます。一方で、株主は株式投資の見返りとして、配当や株価の上昇による儲けを求めます。ただ、配当を支払ったり株価を上昇させるためには、企業はそのベースとして儲けを生み出す必要があります。つまり株主は、一定の配当や株価の上昇につながるような儲けを生み出すことを求めているのです。この債権者が求める金利と株主が求める儲けが、投資家が期待している儲けになります。これを企業の立場から見てみると、企業が資金調達を行う場合に資金提供者から求められているコストと考えることができます。これを、企業が集めた資金(資本)のコストという意味で資本コスト(cost of capital)と呼んでいます。具体的には、借りたお金、つまり借入金や社債のコストは金利になります。ただ、儲かっている企業を前提とすると、金利を支払うと利益が減り、利益の減少分に見合うだけ税金も安くなります。その結果、借入金や社債の実質的なコストは、金利からこの節税効果を差し引いた差額になります。一方で株主から預かっている資金のコストは、株主から期待されている儲け、つまり1年間で考えるとまさに株主の儲けである配当や剰余金の増加につながる当期純利益を、株主が期待しているレベルまで確保することになります。なぜなら、株主から継続して投資をしてもらい、株価を維持し上げていくためには、株主が満足するだけの儲けを確保しなければいけないと考えられるからです。  さらに、企業は通常・・・ ■西山 茂(にしやま しげる) 早稲田大学政治経済学部卒業。米ペンシルバニア大学ウォートン校よりMBA取得。早稲田大学より博士号取得。監査法人ト-マツ等にて会計監査、株式公開コンサルティング、M&A支援、人材育成などの業務に従事。 2002 年から早稲田大学で教鞭をとり、2006年から現職。会計や財務といった数字をベースに理論と実務の両面から経営を考える授業やゼミを担当している。国内主要企業の監査役を歴任。会計・財務に関する著書多数。公認会計士。 ※詳しい経歴はこちら  

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事業承継案件のトレンド変化とPEファンドへの期待

[特集・特別インタビュー]
事業承継案件のトレンド変化とPEファンドへの期待 有料記事です

 笹沼 泰助(アドバンテッジ パートナーズ 代表パートナー)
事業承継案件の3つのフェーズ -- アドバンテッジパートナーズは1992年に設立され、97年に日本初のバイアウト・ファンドを組成してプライベートエクイティ(PE)事業を開始されました。これまでにファンド総額は約3000億円にのぼり、投資企業も約50社というトラックレコードを作ってこられたわけですが、その中には事業承継案件も少なくないと思います。そうした経験から、事業承継案件の変化についてどのようにご覧になっていますか。 「我々が投資を開始して以降の約20年を振り返りますと、事業承継案件には3つのフェーズがあったように思います。   投資を始めた当初の事業承継案件で多く見られたケースは、後継者問題を抱えた非上場企業です。後継者は別に血縁者でなくてもいいわけで、事業を承継してくれる人材を企業の内外から探そうと思えばできないことはないのですが、実際には後継者問題の背景に、企業経営が難しい状態に立ち至っているというケースが少なくありませんでした。第1フェーズでは、そういう案件が比較的高い頻度でPEファンドに持ち込まれてきたように思います。

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第89回 統合パターンの選択とリスク管理

[ポストM&A戦略]
第89回 統合パターンの選択とリスク管理 有料記事です

 竹田 年朗(マーサー ジャパン グローバルM&Aコンサルティング パートナー)
  買収後の統合の最終的な絵姿、すなわち「シナジー追求組織」がどのようなものであるかについては、デューデリジェンス開始前の段階で骨太の仮説が形成される必要がある。統合パターンの選択が、なぜ買うか、いくらで買うかということと深く関係するからである。   ここで、「わからないことについて、今決めてしまうことはできない」と、将来の意思決定に対して、一定程度柔軟に臨むことができればよい。しかし、例えば自らの仮説についての確信が強い場合(裏を返せば、わかっていないかもしれないことについての感度が低い場合)、あるいはあるべき姿について社内外から強い期待(制約)を受け、もはやストーリーの変更ができない場合などでは、クロージング後できるだけ速やかに、当初仮説に従って統合の阻害要因を詰め、課題を克服し、予定通り、定められたシナジー追求組織への再編を実施することになる。   もとより、どのような経営判断も「やり切れば勝ち、やり切れなければ負け」なのであり、絶対的な真理を探究する自然科学とはその立ち位置を大いに異にする。しかしそれでも経営は、より良い結果を担保するために、相対的に勝ち目が高い選択をしなければならない。もし、一旦生み出された組織的なイナーシャ(勢い、慣性)の修正が難しいならば、買い手は、経営リスクとなる可能性の高いイナーシャを生まないように当初仮説を適切に描き、未定とすべきところは未定としておかなければならないだろう。   今回は、このようなリスク管理の観点から、統合組織の選択に求められる着眼点を解説する。

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ダイドードリンコ

[データファイル [注目企業のM&A戦略を追う]]
ダイドードリンコ 業界再編が進む中、独自のビジネスモデルで事業拡大を目指す

1.寡占化する清涼飲料市場  清涼飲料は成熟市場と言われているものの、国内出荷額はここ数年微増で推移している(図表1)。近年猛暑が続いていることに加えて、食品メーカーによる商品ラインアップの拡充、スーパー、ドラッグストア等による価格の引き下げ、また、コンビニエンスストアなどでのPB商品取り扱いといった企業努力が一定の成果を生んできたと考えられる。  スーパー、コンビニ等に並ぶもう一つの主要な販売チャネルは自動販売機(以下、自販機。)である。チャネルとしては約3割を占めているが、スーパー、コンビニの飲料販売拡大やコンビニ店頭での出来立てコーヒーなどの普及もありその割合は低下傾向。2000年代、国内自販機普及台数はほぼ横ばいの約250万台(文末注1参照)で推移してきたと伝えられている。  しかし、メーカー側からみれば小売りからの値下げ圧力を受けにくく、無人で営業でき、設置に広いスペースは不要である。消費者の目線でいえば24時間、ワンタッチで商品を購入でき利便性が高い。最近では、災害支援型自販機やAED(自動体外式除細動器)付帯・搭載の自販機などといった社会貢献の側面を持つものも現れた。チャネルとしての割合が低下したとはいえ、自販機の特徴を考えれば飲料メーカーにとって依然として重要な販路であろう。  これまで、清涼飲料業界では代表的な大型M&Aとして、2012年のアサヒグループホールディングスによる味の素子会社のカルピス買収、2015年のサントリー食品インターナショナルによるジャパンビバレッジホールディングス等JT子会社の買収があった。アサヒは2001年に子会社のアサヒ飲料がカルピスと清涼飲料を扱う自販機での相互販売契約を締結しており、2008年には自販機事業を統合していた。サントリー食品インターナショナルが買収したジャパンビバレッジホールディングスは、自販機事業を主要事業としていた。買収の目的の一つは自販機がチャネルとして重要である反面、飽和状態と言われていることに鑑み、一層の効率化、規模拡大による投資資金の確保などを図ることであった。  これにより、国内清涼飲料市場は2強と言われるコカ・コーラグループとサントリー食品インターナショナルで約5割のシェア(販売数量ベース)を占め、これにアサヒ飲料、キリンビバレッジ、伊藤園までを含めると計5社で約85%と伝えられており、寡占状態になっている。残りの約15%にはポッカサッポロフード&ビバレッジ、大塚製薬、ダイドードリンコなどが含まれる。 2.再編から距離を置くダイドードリンコ~事業概要と今後の経営方針~  大手メーカーと比べて売り上げ規模は小さいものの、経営統合やこれを前提とした資本・業務提携から距離を置いているのがダイドードリンコである。同社の祖業は配置薬業であった。1956年に設立された大同薬品工業として事業をスタートし、その後、ドリンク剤の販売などを手がけるようになった。そして、1973年に、当時運転手に眠気覚ましとして人気を集めた缶コーヒー事業に参入した。この清涼飲料販売事業が収益の第2の柱となり始めたことを機に、1975年には同事業を分社化してダイドー(現ダイドードリンコ)を設立。現在では同社の主力事業となっている。さらに、HOTとCOLDが同時販売できる自販機の登場を機に、自販機事業に参入した。2012年に入るとフルーツデザートゼリー市場シェアNo.1のたらみ(長崎市)を買収してグループの第3の柱とし、現在に至っている。  ダイドードリンコの2016年1月期の売上高は1499億円、当期純利益は23億円だった。現在、売上高構成を「飲料販売」、「飲料受託製造」「食品製造販売」の3部門に分類している(図表2)。  中核事業である「飲料販売」の売上高は1242億円と、全体の83%を占める。うち、売上の約85%は自販機によるもので、商品別ではコーヒー飲料が57%を占める。自社工場を持たないファブレス体制で、生産を外部の協力工場に全て委託しており、物流もアウトソーシングしている。  「飲料受託製造」は売上高85億円。全額出資子会社の大同薬品工業(奈良県葛城市)がドリンク剤の研究、開発、製造に取り組み…  

2016年1-11月のM&A件数と金額

2016.11.30現在 集計

  IN-IN IN-OUT OUT-IN 合計
件数 (件) 1,641 569 187 2,397
増加率 9.0% 11.4% 9.4% 9.6%
金額 (億円) 31,021

82,940

25,319 139,281
増加率 -3.9%

-17.5%

187.4% -1.6%

 *2015年1-12月の日本企業のM&A動向は、こちら

■第15回マールM&Aセミナー|2017年2月9日|データで読み解くベンチャー投資の最新動向 ~成長・注目分野と事業会社のベンチャー投資を分析~|北村 彰 氏(株式会社ジャパンベンチャーリサーチ 代表取締役)

[無料セミナー] 相続と事業承継M&A -成功と失敗の分水嶺はどこに?|株式会社レコフ|2016年12月12日 15:00~

日本企業のM&A分析ツール|レコフM&Aデータベース|日本企業のM&Aデータを5万件超を収録|日本のM&A市場、業界再編動向、企業戦略などの分析ツール
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編集部から|次号予告、編集後記など
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「MARR2016」(M&Aレポート2016)の「第4部 アンケート調査」から抜粋。Aコース会員・EXコース会員向けの限定コンテンツです。

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