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(2014/03/12)

ベトナム:不良債権問題と外国直接投資

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 ベトナム各地を視察すると建設途中で放置された状態となっている建造物を見かけることが多い。これらは目に見える不良債権そのものである。

 ベトナムの不良債権問題はどれほどの深刻さを持っているのだろうか?

 複数の海外格付け機関や研究機関のレポートでは、ベトナムの銀行全体の不良債権比率は15%程度という一致した推定値を公表している。これに対しベトナム国家銀行(SBV)は、2013年末の不良債権比率は3.63%であり、「債権の質についてより厳しい基準を定めた2012年4月の中銀決定に基づいて計算しても9%程度にすぎない」と反論している。

 SBVの反論の仕方から考えると、皮肉にも不良債権の額は公表されているものよりも少なくとも3倍近くはあるということが逆に推測できる。つまるところ海外格付け機関の数値の方により真実味を感じるというのが普通の感覚だろう。

 不良債権比率15%というのはベトナム経済にどれほどのインパクトがあるのだろうか?
ある研究機関のレポートによれば、ベトナムの銀行全体の与信残高はGDPの130%の金額に上るという。そうであれば不良債権全体の額はGDPの20%に近い金額ということになる。これは日本のバブル崩壊時の不良債権のGDP比率と同程度となる。

 つまり、ベトナムの不良債権問題の経済全体に与えるインパクトは、数値上は日本のバブル崩壊時と同程度の深刻さを秘めているということになる。そのような意味でベトナムの不良債権問題に既視感を覚える人も多いことだろう。



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