ANAホールディングス(以下、ANA)は2023年3月7日、日本郵船の100%子会社である日本貨物航空(以下、NCA)を買収することで合意に達したと発表した。具体的な買収方法や価格など詳細は今後詰めることになるが、NCAは10月1日にANAの
完全子会社となる予定である。NCAは1978年にANAや日本郵船など運輸企業5社の出資で設立され、日本で唯一の航空貨物運送専業会社となった。2005年にはANAが出資分(25.79%)を日本郵船に譲渡し、資本関係は切れたが今回、改めてNCAを完全子会社化することで18年ぶりにANAと資本関係が復活することになる。将来的にはANA傘下のANAカーゴとの統合も視野に入るとみられている。
NCAは欧米の主要都市に就航し、ボーイング747型機を15機保有する。最近の業績動向をみると、22年3月期に経常利益740億円と、2期連続で過去最高益を更新。それまでは赤字体質が継続し、同期においては債務超過の状態であったが、23年3月期も業績堅調で620億円の経常利益が予想されている。そうなれば債務超過状態も解消される可能性が高い。コロナ禍で航空貨物の需給が逼迫し、運賃が上昇したことや高単価貨物が増えていることなどが背景にあるようだ。
ANAが今回、NCAの買収に踏み切った理由には、…