[M&Aスクランブル]

(2015/02/18)

米・英におけるエンゲージメントの例から得られる示唆

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 M&A専門誌マール2015年3月号座談会「アクティビズムとショートターミズム -ガバナンス・コード/スチュワードシップ・コードの時代における日本企業の対応-」に、米国における最近のアクティビズムの事例が紹介されている。特徴としては、(1)アクティビストはソフィスティケートされてきており、自社株買いを要求するなど目先の提案ではなく、長期的な企業価値向上を目的とした経営改善・事業改革を迫るような提案が多い、(2)株式保有が数%に留まるアクティビストと、長期投資を旨とする年金基金が共同で事業会社に働きかける例がみられる、(3)アクティビストがソーシャル・メディアを活用し、パブリックに向けて提案の有効性を主張するケースが増加、といった3点が挙げられる。同座談会では、アクティビストと年金基金等から共同で提案を受けた上場会社が、不採算と指摘された一部の事業を結果的に売却した例などが盛り込まれている。

 一方、欧州については「アクティビストファンドの数は少数」とみられているが、次に述べるように機関投資家のエンゲージメントに伴うM&A計画の撤回例が、英国の投資信託協会(Investment Management Association)から公表されている(2012年。注1参照)。

 2011年10月17日、英国警備サービス最大手のG4Sは、デンマークの清掃等オフィス向けサービス会社のISSホールディングスを買収すると公表した。買収見込み額は負債承継分も含めて総額52億ポンド(約6,400億円)であった。しかし、G4Sの株主となっていた複数の機関投資家が買収価格が高過ぎるなどの懸念を示し、G4Sは2011年11月1日に買収計画を撤回した。


 

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