1. 事業の概要 SYSホールディングス(名古屋市)は傘下に11の情報システム・サービス子会社を擁する純粋持株会社である。同社は事業を「グローバル製造業ソリューション」、「社会情報インフラ・ソリューション」、「モバイル・ソリューション」の3つのセグメントに区分している。
グローバル製造業ソリューションでは、自動車、重工業、工作機械、鉄鋼、搬送機など、海外市場を販路としている製造業を主要顧客とし、基幹システム、工業用エアコン組込みソフト、また、車載ECU(電子制御ユニット)関連の開発及び検証等を行っている。
社会情報インフラ・ソリューションでは、電力・ガス、生命保険、クレジットカード、鉄道関連の企業や官公庁・自治体等を主要顧客とし、基幹システムの開発やITインフラの構築などのサービスを提供している。
モバイル・ソリューションでは、流通、訪問介護、鉄道、医療などの業種をエンドユーザーに、スマートフォンやタブレット端末などを用いた法人向けのアプリケーション・サービスを提供している。
連結売上高63億円(2021年7月期)のうちグローバル製造業ソリューションによるものが26億円、42%、社会情報インフラ・ソリューションによるものが35億円、55%を占め、この他の2億円、3%がモバイル・ソリューションによるものである。
2021年7月期の有価証券報告書をみると「外部顧客への売上高のうち、連結損益計算書の売上高の10%以上を占める相手先がいないため、記載を省略」と記されており、特定の顧客への依存度は小さいと推察される。
なお、同社の事業には顧客のシステム開発発注などを自らが引き受ける元請と、大手システム・インテグレーターなどを通じて開発等に携わる双方のケースがあり、元請の割合は6割程度と伝えられている。
同社が株式を東証ジャスダックに上場させたのは2017年であるが、鈴木現代表取締役会長兼社長によって前身のエスワイシステム(現連結子会社)が名古屋市に設立されたのは1991年のことであり、業歴は30年を越えている。2000年代に入ってから東京都や大阪府、また、インドネシアにも拠点を設立していった。2013年にはエスワイシステムの単独
株式移転によって純粋持株会社のSYSホールディングスが設立された。2017年の株式上場は、元請けの拡大や能力を有する人材確保のために社会的な信用を高めることが目的だったという。2022年4月にはスタンダード市場へ移行の予定である。
2. 業績のけん引役となったM&A 図表1はSYSホールディングスの業績の推移を示したものであり、2015年7月期以降概ね増収増益を達成してきた。そして、図表2は有価証券報告書から各期における業績の変動要因を要約したものである。
(図表1)業績推移
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