安川電機といえば言わずと知れた、産業用ロボットの世界的大手メーカーである。産業用ロボットでは日本でのシェア1位、世界では第4位を誇り、IoTの本格的展開を迎える中でその注目度は一層高まっている。同社は日本の主要企業の中ではいち早く直近の決算発表を終えたが(20年2月期)、現下の新型コロナウイルス禍が広がる中でさえ20年度第1四半期の会社計画が公表され市場からの評価は高まった。経営環境が不透明な中で、多くの企業が会社計画公表を躊躇するにもかかわらず、計画公表に踏み切れたのも第4次産業革命がもたらす成長機会への確信があったためと思われる。
同社は4月10日、持ち分法関連子会社であるYE DIGITALとIoTソリューション事業(製造業での工場や物流などの自動化推進)を発展させるべく、合弁会社アイキューブデジタルの設立を発表した(20年7月設立予定、出資比率安川電機60%、YE DIGITAL40%)。YE DIGITALはもともと社会インフラ関連や文教関連市場など非製造業向けのIoT技術(IoTソリューションやAI・ビッグデータ分析)に強みを持つが、最近では製造業向けのソリューション提供にも事業領域を拡大してきた。アイキューブデジタルは安川電機のメカトロニクス技術や製品とYE DIGITALのIoT技術を融合させ、製造業向けのIoTソリューションの提供に特化させようというものである。
こうした戦略は、安川電機の長期経営計画(2016~2025、ビジョン25)の中で打ち出された新ソリューションコンセプトである「i3–Mechatronics(アイキューブメカトロニクス)」ビジネスモデルが基礎となっている。アイキューブとはintegrated(統合的)、intelligent(知能的)、innovative(革新的)をモットーとして新たな産業自動化革命の実現を目指すもの。