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[M&A戦略と法務]

2018年12月号 290号

(2018/11/15)

英国法準拠M&A実務の特徴

山本 麻記子(TMI総合法律事務所 弁護士・英国法事務弁護士(Solicitor注1))
1. はじめに

 英国会社の発行する株式譲渡や英国会社の資産譲渡契約が、英国法を準拠法とし、かかる取引が英国法のM&Aの実務に沿って行われるのは当然であるが、世界で50を超える英国法系の国々(注2)には、現在も英国法制度に基づき、英国法と類似する法律が適用されているところもあることから、英国法系の準拠法に基づくM&Aの数は相当にあるといえよう。また、2006年の新英国会社法に影響を受けた新会社法を制定した国々もある(注3)。筆者は、日本で弁護士実務を経験した後に渡英し、英国ソリシタの資格を取得した後は現地の大手弁護士事務所のコーポレート部門にて多くの英国法準拠のM&Aを経験した。帰国後は、対英国企業を中心に、オーストラリア、シンガポール、南アフリカ、ケニアといった英国法系の国の企業に対する投資案件に助言している。本稿では、英国での私企業のM&A実務の特徴や留意点を概観し、最たる特徴ともいえるディスクロージャーレターについて述べることとする。


2. 主な特徴や留意点

2.1 取引開始前

 取引のスキームと税効果の検証に費やす時間と費用は日本より多い印象を受ける。特に、起業家は特殊な株式や信託等を用いた複雑な節税対策を組んでいることも多く、書面交渉の開始後に税務アドバイザーの見解により、取引スキームに変更を求められることもある。最初の意向表明の時点から、税務関連の十分な検討を終えることが法的拘束力のある書面を提示し、契約を締結する前提となっていることも多く、現実に取引スキーム変更のリスクがあることも踏まえ、適時税務検討の進捗を確認して進めることが望ましい。

 他に、取引スキームの観点では、事業譲渡や外注先の変更、又は内製化に際しては、対象の事業に関与していた従業員が法律により自動的に移転先等の雇用に移る可能性がある点に注意が必要であろう。

2.2 デュー・ディリジェンス

 大手法律事務所では、所内にヴァーチャル・データルーム(VDR)の機能を要し、専門のパラリーガルを置くところもある。外部のVDRと費用面、手続き(手間)の面で比較検討の上、起用することもあればしないこともある。膨大なリストを送付し、それに基づく情報のVDRへのアップロードによる開示を求めるなど、全般の流れに特筆すべき点はないが、過去の各種議事録や株主名簿等の登録簿だけは紙ベースでファイルに保管している会社もまだ多く、それらのファイルは、「statutory book(s)」と呼ばれ、設立証書(certificate of incorporation)の原本から綴じられたファイルが段ボールで届いたり、対象会社の会議室でレビューすることもある。

 デュー・ディリジェンスのレポートは、

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