▽▽ 一橋大学大学院 国際企業戦略研究科 宍戸善一 教授 ▽▽
――日本の会社のあり方をどうお考えですか。
「経営者と従業員がつくる会社共同体が日本の上場企業のコーポレート・ガバナンスの中核をなしています。ところが、一九九〇年代以降、日本でも企業のリストラがおき、このため会社共同体が壊れ、経営者と従業員からなる人的資本の拠出者が一つのチームを構成できなくなるのではないか、と予想したのですが、最近みていると、会社共同体は、なかなかしぶとく生き残っています。これは、良くもあり、悪くもありですが、それならいっそうのこと、良いところを生かしたらどうか。これは間違いなく希少資源です。他国が真似をしたくてもできません。例えば、米国の労使関係は産業別に組織され、労使交渉も敵対的にやっています。こうした国で、経営者と従業員が企業ごとにチームをつくろうとしても、コストがかかって大変です」