「水面下」での提案が盛んに
―― 大株主や
アクティビストファンド、ストラテジックバイヤーへの対応という観点から、足元の上場企業を取り巻く環境をどう見ますか。
「日本市場に新たに参入してくるアクティビストが増えています。2019年と比べると、東証1部、時価総額1000億円以上の企業において、アクティビストの保有が確認されている事例が増えてきています。21年にアクティビストキャンペーン(アクティビストが対象企業に送付した書簡を公にし、メディアを巻き込みながら自らの考えを主張する手法)の対象となった『キャンペーン企業』では、平均1.71社のアクティビスト等が株式を保有しています(図表1、2)」
「日経平均株価の構成企業225社を見ると、アクティビストが保有している企業は約半数です。株主提案の件数を見ても、アクティビストの提案は増加しています。気候変動問題への対応強化や対応策の開示を求めるNPOなど、アクティビスト以外の株主提案も増えています。
海外では、アクティビストであると自他共に認めるファンドがある一方、『自分たちはバリュー投資家だけど経営にはモノを言いたい』といった対話型のファンドが増えています。株主提案をして自分たちの名前を前面に出すというより、水面下でいろいろな提案をし、経営陣と対話をし、その結果、企業が何らかのアクションをとる、という動きを期待しているわけです。そのほうがコストも掛かりません。このような投資家は今後も増えるのではないかと考えています。
22年度は『企業が株主提案ではない形でいろいろな提案を受け、水面下で何らかの合意がなされる』、あるいは『企業がいろいろな施策を打ち、その結果株価が上がり、アクティビストが離れていく』といった動きが増えるのではないかと見ています」
―― 対話型のファンドは企業のIR部署に直接対話を持ち掛けるケースが多いのでしょうか。
「まずは通常のIR面談のような形でミーティングが行われるケースが多いです。その後、