[寄稿]
2014年7月号 237号
(2014/06/15)
尖閣諸島国有化をきっかけに悪化した日中関係ではあるが、日本にとって中国は最大の貿易相手国であり、経済的には最も重要な国の1つである。また、少子化や多額の政府債務を背景に国内市場の大きな拡大が期待できない中で、中国経済の成長・活力を取り込んでいくことが求められている。
本稿では、対中投資のトレンドについて見ていくとともに、中国M&A事例にふれつつ、中国市場をターゲットとした戦略にかかる考察をまとめている。
対中投資及びM&Aのトレンド
長引く円高や日本の高コスト構造を背景とした生産拠点の海外移転、成長が見込まれる海外市場の獲得を目的として、日本企業による対外直接投資は近年高水準で推移している。中国も例外ではなく、図表1の通り、2013年に若干減少したものの2011年以降は高水準の対中直接投資が行われている。一方、中国企業を対象とした日本企業のM&A案件は2012年まで高水準で推移していたものの、2013年は日中関係の悪化による様子見姿勢や中国景気の減速を受け、M&A案件は件数ベースで48%減と大幅なマイナスを記録している(図表2参照)。一方、2014年1~3月はすでに15件を記録しており、前年同期の2件と比較すると、足元で対中M&A市場にも回復の兆しが見てとれる。
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