[対談・座談会]
2016年12月号 266号
(2016/11/15)
はじめに
武井 「一昨年、昨年に引き続き、『M&A関連法制等の動向と実務への示唆』(2016年版)と題して、今年(2016年)のM&A実務に影響のある重要な動きについて整理し、今後の実務への示唆等について議論したいと思います。今年は何といっても、税制と会社法に関する重要な最高裁判所の判決・決定が出ましたので、これらの判例を中心に話を進めていきたいと思います。
まず、自己紹介からということで、中村先生からお願いします」
中村 「税理士の中村です。税務相談中心の業務を行う傍ら、大学院で税法を教えています。M&Aは私の専門分野の一つです」
武井 「髙木先生、お願いします」
髙木 「弁護士の髙木です。M&Aやコーポレートガバナンス等、上場企業の企業法務を広く取り扱っています」
武井 「司会は去年同様、弁護士の武井が務めます。よろしくお願いします」
M&A実務に関連する税制度の動向
(1) Yahoo事件の最高裁判決
IDCS事件の概要
武井 「まず、税制の動きからですが、平成28年2月29日に最高裁の第一小法廷と第二小法廷から、組織再編成における包括否認規定と呼ばれる法人税法132条の2(組織再編成にかかる行為又は計算)の解釈について重要な判断が示されました。第一小法廷がいわゆるソフトバンクIDCソリューション(IDCS)事件、第二小法廷がソフトバンクIDCフロンティア(IDCF)事件です。これらは、一連のM&A取引を構成する2つの取引が別々の裁判になったものですが、いずれも132条の2(包括否認規定)に言う『法人税の負担を不当に減少させる結果となると認められるもの』にあたるかどうかが争われ、最高裁が初めて一定の解釈を示したものです。まず中村先生から、IDCS事件の概要をご紹介ください」
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