OECDが公表した「地球規模の危機に対する地球規模の行動(Coronavirus (COVID-19): Joint actions to win the war」(注1)では、コロナウイルスのパンデミックは「ウイルスとの闘いと経済危機という二重苦」をもたらしており、経済危機の克服として、大規模かつ確実な、国際的に調和の取れた4つの側面からなる取り組みを呼び掛けている(図表1参照)。これらのうち、雇用、企業に対する緊急支出は、税務政策に関連するものである。
より具体的な税務政策(コロナウイルス パンデミックに対する緊急的な税務方針(Emergency tax policy responses to the Covid-19 pandemic)(注2)として、「地球規模の危機に対する地球規模の行動」の雇用や企業に対する緊急支出として掲げられている対策の他に、VATの還付のタイミングの短縮や還付請求の簡素化、繰越欠損金の使用制限の緩和等、より納税者に手元資金が還元できるような仕組みが提案されている。
又、OECD税務行政フォーラム(OECD Forum on Tax Administration)から公表された、コロナウイルス対応としての納税者支援(Tax administration responses to Covid-19: support for taxpayers)(注3)では、申告・納税期限の延長、分割納付の期限の延長、延滞税及び利子税の免除又は返還、納税猶予制度のより優遇的な措置、換価制度の緩和措置、税還付のタイミングの短縮、選択可能な租税制度の確実性の担保、税務調査の実施の見合わせ、相談窓口やデジタル化等の納税者への利便性の向上、広報の充実等の実施を推奨している。