[M&Aトピックス]

(2021/10/22)

第15回M&Aフォーラム賞が決定―M&Aフォーラム賞『RECOF賞』などに5作品を選定


人材育成により企業の「M&Aリテラシー」を高め、さらなる業界の活性化に貢献

 また、M&Aフォーラムの落合誠一会長(東京大学名誉教授)は、同フォーラムの活動について次のように述べた。

落合 誠一氏
「私ども『M&Aフォーラム』は、2005年に内閣府経済社会総合研究所のM&A研究会で設立が提唱され、民間ベースのフォーラムとして発足しました。この間、我が国におけるM&A活動の普及・啓発を図り、あわせてM&Aに精通した人材の育成を目指して、『M&A人材育成塾』、『M&Aフォーラム賞』の二つの事業を柱として、地道な活動を続けて参りました。

 『M&A人材育成塾』は、ご活用いただいた企業数が延べ1,100社を超え、受講された方は延べ1,650名に達しております。昨今、M&Aを学べる研修・セミナーは増えておりますが、M&A各分野の実務に携わる第一線で活躍中の講師の解説は臨場感に富んで大変、好評です。

 また、M&A実務の基礎を学ぶ『M&A実践実務講座』に加え、2019年11月には『M&Aリーダーシップ・プログラム』も開講しております。

 もう一つは、今回15回目を迎えました『M&Aフォーラム賞』です。我が国のM&Aの普及啓発に資する優れた書籍、研究論文に対して表彰する制度です。毎年実施してまいりましたが、前回第14回までに52作品の書籍・研究論文が顕彰されました。本賞には我が国のM&Aの実情を反映した作品の応募があり、受賞作品を一覧すると我が国のM&Aの発展状況が判ります。M&Aは、法律・経済・経営・会計・税務・社会・文化等多様で広範な分野と関係しますが、M&Aをテーマとして、継続的に実施されている懸賞論文制度は唯一無二のものとして自負しております。

 岩田一政選考委員長のもと、選考委員会において、毎回、厳正なる審査が行われており、また、これまでと同様、いずれも大変レベルの高い作品であったと聞いております。特に今回は僅差での評価となり、いずれも甲乙つけがたく、例年以上に選考委員の先生方を悩ませたそうです。お忙しいところ、岩田委員長を始め、審査の労を賜りました選考委員の先生方に、この場を借りて厚く御礼申し上げます。

 新型コロナウイルスが経済にダメージを与える中にあっても、M&Aの件数は高水準を維持し、今年は4000件を超え最多を更新する見通しと聞いております。事業ポートフォリオの再構築を図る大企業から事業承継の問題を抱える中小企業に至るまでM&Aは企業の戦略、さらには経済の維持・発展にとって欠かせない存在として定着した感があります。このため、M&Aフォーラムとしましても、『M&A人材育成塾』などの活動を通じて、人材育成により企業の『M&Aリテラシー』を高め、さらなる業界の活性化に貢献してまいりたいと思っております。

 私どもM&Aフォーラムは、今後も着実に実績を積み上げてまいります。皆様には、本フォーラムの趣旨をご理解賜り、より一層のご支援の程お願い致します」

受賞者の言葉

 受賞者は、それぞれ次のように喜びの言葉を述べた。
【受賞者の言葉】

■ M&Aフォーラム賞正賞『RECOF賞』 

 人見健氏(株式会社NTTデータ経営研究所パートナー) 

人見 健 氏
 「このたびは、M&Aフォーラム賞正賞・RECOF賞を頂き、誠にありがとうございます。選考委員の皆様、レコフデータ様、並びに出版の機会を頂戴したダイヤモンド社様に厚く御礼を申し上げます。
 M&Aが日本企業の成長戦略実現手段として定着しましたが、『目的なきM&A』や『自社視点偏重のPMI』による失敗事例は後を絶ちません。本書は、『M&Aの失敗原因は社内にある』という視点で、失敗原因と解決策の提示のみならず、PMIの重要性や、日本企業の組織風土の変革の必要性を説いた内容になっています。
 これからも、日本企業の真の課題解決に繋がる『本質の情報』の発信を続けていきます。この度は誠にありがとうございました」

■ M&Aフォーラム賞奨励賞『RECOF奨励賞』
 大久保 涼 氏(長島・大野・常松法律事務所ニューヨーク・オフィス共同代表)

長島・大野・常松法律事務所ニューヨーク・オフィスの皆様

「このたびは、大変栄誉ある賞を頂きまして有り難うございます。私は、2017年から米国に拠点を移しておりますが、本書は、目の前で繰り広げられている国際契約交渉で何が起こっているのか全く分からなかった弁護士1年目から、米国留学、NY州司法試験、米国法律事務所への出向、日米での20年超に亘るプラクティスを経て得た経験や情報を、アウトバウンドM&Aに携わる日本企業、さらには日本の弁護士に向けて、日本のリーガルサービスの底上げのために提供しています。
 米国の企業法務は進んでおり、また日米間のクロスボーダー案件には特有の困難がありますが、アウトバウンドM&Aは、少子高齢化・世界における地位低下が進む日本が世界で生き残るための重要な手段です。本書がその一助になれば幸いです」


■ M&Aフォーラム賞奨励賞『RECOF奨励賞』
 下谷 政弘 氏(京都大学名誉教授、福井県立大学名誉教授)
 川本 真哉 氏(南山大学経済学部教授)

川本 真哉 氏

「このたびは、M&Aフォーラム賞を賜り、大変光栄に存じます。選考委員の先生方、関係各位に厚くお礼申し上げます。
 本書は、1997年の解禁以降の持株会社の経済的機能について、経済史、企業経済学、ファイナンスなど多角的な視点からアプローチした内容となっています。持株会社の設立にはさまざまな類型がありますが、なかでも『組織再編型』と『経営統合型』が重要です。本書では、この2つのタイプについて、ケースと実証の観点から体系的に捉えられるよう、下谷政弘先生と議論を重ね、各分野の第一線の先生方にご執筆に加わっていただくことで成立しました。
 今回の受賞をきっかけに、より多くの方々に本書を手に取っていただけることを期待しています」

■ M&Aフォーラム賞選考委員会特別賞 『RECOF特別賞』

 加藤 優美 氏(埼玉大学経済学部経済学科4年)

加藤 優美 氏
「このたびは、M&Aフォーラム賞選考委員会特別賞(RECOF特別賞)をいただき、大変光栄です。また、審査をしてくださった選考委員会の先生方・関係者の皆様に深く感謝申し上げます。
 本論文では、経済産業省が公表した『公正なM&Aの在り方に関する指針』に記載されている公正性担保措置に注目し、上場子会社を完全子会社化する際に、当該措置を講じることによって一般株主の利益が保護されるかを検証しています。一般株主の利益保護は完全子会社化において極めて重要であり、この点を検証した本論文は日本のM&A実務において貢献があると考えております。
 来年度から社会人になりますが、今回の受賞を励みと自信にして精進して参ります」



■ M&Aフォーラム賞選考委員会特別賞 『RECOF特別賞』

 濱口 雅史 氏(慶應義塾大学大学院経営管理研究科修士課程2021年3月修了)

濱口 雅史 氏
「大変名誉ある賞を頂戴し、とても嬉しく、光栄に存じます。選考委員会の先生方、関係者の方々、そして執筆の際、ご指導を賜りました岡田正大教授、お世話になりました全ての皆様に、心より御礼申し上げます。
 本研究では、日本の食品メーカーによるIN-OUT型M&Aの成功要因のいくつかを明らかに出来ました。しかし、それらの要因は、グローバル市場において、今後も競争優位の獲得に繋がるとは言い切れないことも分かりました。
 私は今回の受賞を励みに、M&A研究を継続していきます。そして、グローバル市場で独自の強みを発揮するための示唆を得て、実務の中で実践します。その仮説検証サイクルを繰り返し、学術と実務の両面で貢献して参る所存です」
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