[藤原裕之の金融・経済レポート]

(2013/02/20)

小売業界は再び低価格路線に戻るのか

 藤原 裕之((社)日本リサーチ総合研究所 主任研究員)
  • 無料会員
  • A,B,C,EXコース

小売業界の低価格化と取るべき戦略

 昨年夏場頃から個人消費に鈍化の兆しが見え始め、小売業界では再び低価格化に向かう動きが強まっている。食品スーパー業界では西友やダイエーなど大手中心に値下げ競争が加速している。

 低価格化が事業戦略として意味をもつのは、当然のことながらそれによって「利益」が見込めるからである。市場シェアが高ければ利益率も高まるため、低コストで商品を販売することが可能となる。コストリーダーシップを握る大手にとって低価格化は事業戦略として大きな意味を持つ。大手スーパーの値下げ競争の動きや、M&Aによる規模拡大の動きは、まさにコストリーダーシップを巡る競争と捉えられる。一方、市場シェアが小さく利益率の低い中小の場合、低価格化で一時的に売上が増加しても利益率が低下し、事業の継続性が失われる可能性が高い。もっとも大手であっても、飽和化が進む日本の既存市場を前提にした場合、低価格路線のみではいずれ原価の壁にぶち当たり、競争力の低下は避けられない。「差別化戦略」と「集中戦略」は企業規模を問わず進めていくべきである。


■藤原 裕之(ふじわら ひろゆき)

略歴:
 弘前大学人文学部経済学科卒。国際投信委託株式会社(現国際投信投資顧問)、ベリング・ポイント株式会社、PwCアドバイザリー株式会社を経て、2008年10月より社団法人 日本リサーチ総合研究所 主任研究員。専門は、リスクマネジメント、企業金融、消費分析、等。日本リアルオプション学会所属。

※詳しい経歴・実績はこちら
 

続きをご覧いただくにはログインして下さい

この記事は、無料会員も含め、全コースでお読みいただけます。

マールオンライン会員の方はログインして下さい。ご登録がまだの方は会員登録して下さい。

バックナンバー

おすすめ記事

アクセスランキング