[藤原裕之の金融・経済レポート]

(2013/12/04)

競合状況から浮かび上がる食品スーパーの課題

 藤原 裕之((一社)日本リサーチ総合研究所 主任研究員)
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厳さ増す食品スーパーの競争環境

 食品スーパーを巡る競争環境は厳しさを増している。順調に出店数を伸ばすコンビニの売上規模は10兆円台に乗る見込みであり、スーパー(約12兆円)との差を詰めている。最近は大手ディスカウントストアの出店も目立つ。

 小売の基本は「立地」と言われる。人口減少下で国内食品市場のパイも縮小が見込まれる中、食品スーパーは自社店舗を取巻く競争環境の変化にどう対応するか厳しい選択を迫られている。

スーパーマーケット景気動向調査

 新日本スーパーマーケット協会では、食品スーパーの販売統計調査と景況感調査を月次で公表している。後者の「スーパーマーケット景気動向調査」では、昨年6月調査から「中核店舗周辺で競合店と意識している店舗数」について尋ねている。食品スーパーの担当者が「意識している」競合店舗数と景況感・経営動向の関係をみれば、自社店舗が置かれている競争状況に関する特徴が読み取れる。以下では同調査の結果をもとに、食品スーパーを取り巻く競争環境についてみていきたい。

意識する競合店舗の数 -最も多いのが3~5店舗

 回答企業(食品スーパー担当者)に「意識する競合店舗数」を聞くと、もっとも回答が多かったのが3~5店舗(57%)、次いで0~2店舗(27%)、6~8店舗(12%)という結果になっている(図表1)。全体の約6割が3~5店舗に集中しており、市場規模(商圏)の大きさ次第では競争過多に陥りやすい状態にあることがうかがえる。

 さらに意識する競合店舗数と回答企業の店舗売上規模との関係をみると、売上規模の大きい店舗ほど競合店舗数も多いことがわかる。この点から、対象とする商圏規模が大きいほど競合店舗数も多いという関係が確認できる。

図表1 意識する競合店舗数の回答割合




■藤原 裕之(ふじわら ひろゆき)

略歴:
弘前大学人文学部経済学科卒。国際投信委託株式会社(現国際投信投資顧問)、ベリング・ポイント株式会社、PwCアドバイザリー株式会社を経て、2008年10月より一般社団法人 日本リサーチ総合研究所 主任研究員。専門は、リスクマネジメント、企業金融、消費分析、等。日本リアルオプション学会所属。

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