[藤原裕之の金融・経済レポート]

(2015/04/15)

IT・機械との競争は仕事をどう変えるか

 藤原 裕之((一社)日本リサーチ総合研究所 主任研究員)
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人間の仕事がIT・機械に置き換わる

 ICT(情報通信技術)や機械の急速な発達が雇用に大きな影響を与える可能性について、新聞・雑誌等でも取り上げられる機会が多くなった。デジタル技術の進化と雇用の喪失をテーマとした書籍「機械との競争」が話題になったのも記憶に新しい。

 人間が行ってきた仕事が機械に置き換わることを示唆する例は事欠かない。米Momentum Machines社は、1時間にハンバーガーを360個も作ることのできるロボット「Alpha」を2013年に発表した。筆者もAlphaがハンバーガーを鮮やかに作り上げる動画を見たが、近い将来、ファストフード店の多くがロボットによって運営される可能性は十分あると感じさせるものだった。

 オックスフォード大学のマイケル・A・オズボーン準教授らは2013年9月に「雇用の将来」という興味深いレポートを発表している(*1)。同レポートには、今後20年間にITの影響で、米国にある702の職業のおよそ半分が失われる可能性があることが記されている。ITに代替されやすい職業の上位をみると、電話営業、データ入力、レジ打ちなどの単純作業に加え、数理技術者や保険鑑定士など比較的高度なスキルが求められる仕事も上位にきている。筆者が行うデータ分析でも、推計作業そのものは数理解析ソフトで誰でも簡単に行えるようになっている。一方、ITに置き換わる可能性が低い職業の上位には、セラピスト、最前線のメカニック、ソーシャルワーカーなど、人の心に働きかける職業や常に最先端の技術を扱う職業が入っている。(図表1)

図表1 IT・機械に代替されやすい職業とされにくい職業上位20



■藤原 裕之(ふじわら ひろゆき)
略歴:
弘前大学人文学部経済学科卒。国際投信委託株式会社(現国際投信投資顧問)、ベリング・ポイント株式会社、PwCアドバイザリー株式会社を経て、2008年10月より一般社団法人 日本リサーチ総合研究所 主任研究員。専門は、リスクマネジメント、企業金融、消費分析、等。日本リアルオプション学会所属。

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