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[Webインタビュー]

(2019/08/22)

【第110回】【ペガサス・テック・ベンチャーズ】 日本の大手事業会社20社が導入する戦略的CVCの仕組み

―― イノベーション創出を目指す「CVC4.0」とは?

アニス・ウッザマン(共同代表パートナー& CEO)

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米国シリコンバレーに本社

―― まず、ペガサス・テック・ベンチャーズ(以下ペガサス)について、ご紹介ください。

「当社は米国シリコンバレーに本社を持つベンチャーキャピタル(VC)で、2011年5月よりVC業務に従事、その後ペガサス・テック・ベンチャーズを設立しました。世界30社以上の大手企業からLP出資を受け入れていまして、これまでに150社以上のスタートアップに投資しています。日本では、ZUU、ジーニー、マネーフォワード、エボラブルアジア、メタップス、ディー・エル・イーといった既に上場した企業のほか、テラモーターズ、ユニファ、モンスターラボ、スターフェスティバル、Life is Tech、エディジーン、FiNC等への投資を行い、これら投資先の海外展開支援を行った実績を持っています。日本で活動を始めたのは12年ぐらいからで、15年に法人化しました」

―― ペガサスのVCとしての特徴はどのような点にありますか。

「我々は単に金銭的なリターンだけではなく、出資いただいている企業に対してイノベーションに直接つながるようなスタートアップを紹介するとともに、そこに戦略的に投資していくという投資スタイルをとっています。また、一般のVCのファンドでは複数のLPが入る形を取っていますが、我々は単一のLP(リミテッド・パートナー)だけで運用する“2人組合”方式のCVC(コーポレート・ベンチャー・キャピタル)を中心に運用しているというのが最大の特徴です。我々はこの方式を“CVC4.0”と呼んでいます」



進化するCVC 

―― なぜCVC4.0と呼んでいるのか、詳しく教えてください。

「CVCも歴史を経るにしたがって進化してきているということです。

 まず、CVC1.0は1980年中頃に登場しました。これは、複数の大手企業が同一のファンドにLPとして投資し、運用はファンドマネージャーが担うという方式です。CVC1.0は、一般的にVCのファンドでとられている方法で、主に財務的リターンを目的としていました。そのために、出資にあたって個々のLP企業の意見は尊重されず、出資額も各社1~5億円という少額にとどまっていました。これでは戦略的リターン、例えばスタートアップとの事業提携やM&Aなどには結びつかなかったのです。

 こうした課題を解消するために出てきたのがCVC2.0です。これは2000年代初期に登場してきた形で、大手企業がファンドを子会社として設立し、スタートアップに投資するというものです。運用は自社の社員が担当することから、企業の意思を反映して、投資したいスタートアップに投資するという形が可能になりました。この形のCVCが日本でも一般的だと思います。

 しかし、CVC2.0の場合、ファンドの運用にあたるファンドマネージャーのスタートアップに対する知見が十分とは言えず、スタートアップを資金面、人材面などで支援することによってIPO、あるいは買収によってイグジッドするということがうまくいかないという例が少なからず見られたのです。

 その後、10年初期に登場したのがCVC3.0で、ファンドマネージャーに知識のある人材を外部から招聘して、子会社であるCVCを運用するという形です。しかしこのCVC3.0にも問題がありました。自社でファンドを運用しているため、優良なスタートアップが、企業色が強いファンドとの交渉に必ずしも積極的ではなかったり、案件数に限界があるという課題があったのです。さらに、出資先のスタートアップを他社に紹介することができにくくなり、スタートアップのスケールがしにくくなってしまっていたということもありました。
こうした数々の課題を踏まえて登場したのがCVC4.0で14…

■Anis Uzzaman(アニス・ウッザマン)
東京工業大学工学部開発システム工学科卒業。オクラホマ州立大学工学部電気情報工学専攻にて修士、東京都立大学(現・首都大学東京)工学部情報通信学科にて博士を取得。IBMなどで戦略投資に携わり、2011年5月よりVC業務に従事、現在Pegasus Tech Ventures代表パートナー兼 CEOである。
現在は、投資家であるとともに、東南アジア最大のテックメディアTech in Asiaをはじめ、 Affectiva、Sano、Lark、Blue Frog Robotics、 Asteria、 I AND C-Cruiseにおいて社外取締役を務める。著書に「スタートアップ・バイブル シリコンバレー流・ベンチャー企業のつくりかた」(講談社)、「世界の投資家は、日本企業の何を見ているのか?」(KADOKAWA)などがある。

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