[寄稿]

2013年5月号 223号

(2013/04/15)

わが国における企業結合審査の概要

 中山 龍太郎(弁護士・ニューヨーク州弁護士 西村あさひ法律事務所 パートナー)
  • A,B,EXコース

1.    はじめに

   企業結合とは、一般的には、複数の企業が一定程度又は完全に一体化して事業活動を行う関係が形成・維持・強化される取引又は行為を指す。

   我が国の独禁法は第4章において、企業結合を、株式の取得・所有(10条)、役員の兼任(13条)、会社以外の者の株式取得・所有(14条)、合併(15条)、共同新設分割・吸収分割(15条の2)、共同株式移転(15条の3)、事業譲受け等(16条)という類型ごとに分けて規定している。

   いずれの企業結合類型においても、一定の取引分野における競争が実質的に制限されることとなる場合には、そのような企業結合は禁止される。また、一定の類型・規模の企業結合については、事前届出制度が設けられている。

   ある企業結合が、一定の取引分野における競争を実質的に制限することとなるか否かについての審査(以下「企業結合審査」という)の具体的な手続及び内容は、「私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律第9条から第16条までの規定による認可の申請、報告及び届出等に関する規則」(以下「届出規則」という)、「企業結合審査の手続に関する対応方針」(以下「手続対応方針」という)及び「企業結合審査に関する独占禁止法の運用指針」(以下「企業結合ガイドライン」という)によって定められ、又は、運用されている。

   企業結合審査手続は、平成23年6月に大幅に改正されており、本稿では、平成23年6月改正以前の手続を「旧審査手続」と呼ぶこととする。

2. 企業結合審査手続の概要

 

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