[業界動向「M&Aでみる日本の産業新地図」]

2014年7月号 237号

(2014/06/15)

第114回 スポーツ関連業界――成長ビジネスとなり得るか

 マール企業価値研究グループ
  • A,B,EXコース

1.はじめに

  本稿掲載時には、男子サッカーの2014 FIFAワールドカップ ブラジル大会が開催(6月12日開幕)されている。FIFAワールドカップは、サッカーの世界的な普及もあって、その視聴数はオリンピック・パラリンピックをも凌駕する世界最大級のスポーツイベントである。そのような世界中が注目するスポーツイベントでは、当然その商業的な価値も注目されることになる。FIFAワールドカップの放映権料は、1998年のフランス大会では全世界で約1億ドル、前回の2010年南アフリカ大会では27億ドル、今回のブラジル大会では、さらに増加する見込みであり、放送局自体が赤字になる可能性の話もでているほど高騰している。このような例をはじめ、近年ビジネスとしてのスポーツの価値が注目されており、世界ではスポーツ関連ビジネスは成長産業と認識されている。

  スポーツをどのような視点で認識するかによってその市場の範囲やプレーヤーも異なってくる。スポーツは波及する分野が多く、レジャー、メディア、不動産、物販など幅広い市場やプレーヤーを持つ。本稿では、ビジネスとしてスポーツを捉えるにあたって、消費者の立場から考えてみたい(注1)。消費者からスポーツを捉えた場合、表1にあるように、「するスポーツ」と「見るスポーツ」に区分できる。前者はジョギング、ゴルフをプレーする、後者は野球やサッカー、大相撲などのスポーツ観戦、ビジネスではないが、子供の運動会観戦なども例に挙げてよいだろう。なお、スポーツ主催者に対し、メディアが支払う放映権料、スポンサー企業が支払うスポンサー料/広告料は、消費者が直接負担していないB to Bビジネスである。しかしスポーツを見る価値が向上すれば間接的にその価値が向上する性質のものと考えることができる。

表1 消費者の視点でみたスポーツの分類

  日本では、2020年に東京オリンピック・パラリンピックが開催される予定であり、当然のことながらスポーツ関連のビジネスへの関心は高い。国内でのM&Aについてはまだそれほど多いとは言えないが、本稿では、市場規模や成長率を踏まえ、スポーツ関連ビジネスが今後どのような産業となることが期待されるかを考察してみたい。

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