[寄稿]
2016年4月号 258号
(2016/03/15)
2015年12月31日、ASEAN経済共同体が発足した。ASEAN事務局によると、2010年の時点で、既に関税については先進ASEAN諸国間で99.2%の品目の撤廃が完了しており、「単一の生産拠点、単一の市場」を目標としたASEANの経済統合は着実に歩みを進めている。改めて注目が集まるASEAN地域における日本企業の投資動向と今後の課題を概観する。
<ASEANへの直接投資は非製造業がけん引しつつ堅調に推移>
日本企業の投資先として、ASEANの位置づけが年々高まっている。日本銀行の国際収支統計でみると、日本からの対全世界直接投資残高に占めるASEANの割合は、2005年から2013年にかけ、ほぼ一貫して上昇してきた。同時期に日本の代表的な投資先であった北米が40.2%から33.7%へと大きくシェアを下げ、またEUも23.7%から22.2%と横ばいで推移している。これと比べ、中国が6.4%から8.8%、ASEANが10.4%から13.4%と、アジアへ投資先がシフトしている状況の中、特にASEANの存在感が高まっている。
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