[Q&Aで学ぶM&A実務基礎]

(2024/02/29)

ローン・社債に付されるコベナンツの開示が実務に与える影響

峯岸 健太郎(三浦法律事務所 弁護士)
山口 亮子(三浦法律事務所 弁護士)
  • A,B,C,EXコース
この「Q&Aで学ぶM&A実務基礎」は、M&A実務やそれを学ぶ上で必要となる基礎知識をQ&A形式で不定期に解説するものです。以下の①から④の中でよくある質問・疑問について、有力な専門家に解説していただきます。内容によってはレコフデータの編集部と人材育成塾企画チームが解説することもあります。

① M&A実務
② マールオンラインの記事
③ MARRセミナーやM&Aフォーラム人材育成塾
④ 実際に公表されたM&A案件

2022年6月に公表された「金融審議会 ディスクロージャーワーキング・グループ報告」(DWG報告)を受けて、2024年4月1日付で「企業内容等の開示に関する内閣府令」(以下「改正府令」)が改正・施行されます(注)。

改正項目のうち、今後、上場企業に対応が求められることになる①「企業・株主間のガバナンスに関する合意」と②「企業・株主間の株主保有株式の処分・買増し等に関する合意」(改正府令とは別に、①の契約の締結又は変更が臨時報告書の提出事由に追加される旨の改正案も公表されています(*2)令和5年金融商品取引法等改正に係る政令・内閣府令案等の公表について:金融庁 (fsa.go.jp))、③「財務上の特約の開示」の3点は、M&A関係者の注目度が高いテーマとされます。しかし、肝心の改正の概要、実務への影響がどの程度あるのか、いつまでにどのような準備をしておけばよいのか等について、腹落ちがしないという方は決して少なくないのではないでしょうか。

そこで、当該内閣府令の改正に関連し、三浦法律事務所の峯岸健太郎弁護士、山口亮子弁護士に、よくある疑問について解説・回答していただきました。
(注)内閣府令改正の概要は下記の峯岸弁護士のnote記事を参照ください。

ポイント解説・金商法 #12:企業・株主間のガバナンスに関する合意、企業・株主間の株主保有株式の処分・買増し等に関する合意、財務上の特約の開示(2023年12月22日付企業内容等の開示に関する内閣府令の改正) https://note.com/miuraandpartners/n/ndddf6764e4e3#30732022-3ab1-4780-b3cc-5ebe49ae0074
質問1

「財務上の特約」とはそもそもどういったものでしょうか。

質問2

ローン契約又は社債のコベナンツのうち、臨時報告書の提出や有価証券報告書における開示が必要となるのは「財務上の特約」のみですか。

質問3

「財務上の特約等の開示」がM&A実務に与える影響を教えて下さい。

質問4

コベナンツを開示することによる企業(借入人)・金融機関(貸付人)にとってのメリット・デメリットはどのように整理できるのでしょうか。

質問5

金融庁から示されたパブリックコメント結果には、財務上の特約の開示により債権者間(特に同順位の場合における社債権者とローン契約の貸付人たる金融機関)の情報格差は一定程度解消され市場の透明性の確保に資すると前向きに捉える意見がある一方、ネガティブな受け止めも目立っています。財務上の特約等を開示した場合に、貸付人たる金融機関にとってどんな影響があるのか、教えていただけないでしょうか。

質問6

全銀協会長の記者会見では、財務上の特約等の開示に対する強い懸念が示されています。

このような懸念を払拭するための手当はその後講じられたのでしょうか。

質問7

LBOファイナンス関連部門等が、2025年からの財務上の特約等の開示に向けて、今から取り組んでおくべきこと(例えば開示に該当すると考えられるローン契約のコベナンツを予め洗い出しして置く等)は、何かありますか。

質問8

上場会社が財務危機となり、事業再生ADRの手続に入ると同時に、再生ファイナンスを銀行から借りました。全てのコベナンツが開示されますか。

質問9

上場会社が、ある未上場会社をLBO(レバレッジド・バイアウト)方式で買収することとし、金融機関からノンリコースのLBOローンを調達しました。借入人はSPCですが、事後で対象会社と合併し、その存続会社が当該上場会社の100%子会社かつ当該ローンの借入人となります。従業員等にはローンの条件を開示したくないのですが、この場合もコベナンツは開示されますか。



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