[マールレポート ~企業ケーススタディ~]
2015年9月号 251号
(2015/08/17)
グローバル市場をリードしてきた優良企業
日立製作所グループの日立ビアメカニクスが、プライベート・エクイティ(PE)ファンド「ロングリーチグループ」の下で抜本的な経営改革を図り、新たな成長戦略を描くことになったのは、2013年11月1日のことだった。
同社は、最先端の電子機器産業を支えるプリント基板加工機とその周辺機器の製造・販売・サービス事業を展開し、なかでも主力製品のプリント基板ドリル穴明機とレーザー加工機は、日本だけでなく世界でも高いシェアを獲得している。しかし近年は、リーマンショック後の需要低迷や新興国企業の台頭に伴って、事業を取り巻く競争環境が厳しさを増し、約600億円近い売上高を計上した時期もあったが、赤字を余儀なくされていた。
同社のカーブアウトの背景には、日立製作所グループの業績悪化に伴う再編があった。09年3月期に7873億円という、製造業として過去最悪の最終赤字を出した日立製作所は、同年4月に会長兼社長に就任した川村隆氏を中心とする大改革に着手、情報・通信、電力、鉄道など社会イノベーション事業に経営資源を集中させる一方で、ハードディスク、テレビなど非中核事業を切り離すという大胆な選択と集中を断行し、14年3月期には営業利益が5328億円と過去最高益を上げて見事なV字回復を見せた。
こうした日立製作所グループの選択と集中政策の一環として日立グループを離れ、ロングリーチグループの傘下に入った日立ビアメカニクスは、13年11月1日ビアメカニクスと社名も変更して新たなスタートを切った。
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