[M&Aスクランブル]

(2023/11/22)

ベネッセMBO、問われる非上場化後のM&A戦略

マール企業価値研究グループ
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EQTと組んでMBOを実施

 11月10日、ベネッセホールディングス(HD)がPEファンドのEQTグループと組んでMBOを実施すると発表した。本件に伴い実施されるTOBの総額は概算2079億円におよび、国内のMBOとしては最大規模になる。金額の大きさ並びにMBOのスキームが非常に複雑であることから、M&A関係者間の話題を呼んでいる。

 ベネッセHDは売上高こそ4000億円強を安定的に維持しているものの、営業利益は200億円前後であり、利益率が高いとはいいがたい。背景には、当社の主力事業である教育事業(「進研ゼミ」など)と介護事業が、それぞれ少子化や人手不足といった構造問題を抱え、伸び悩んでいることがある。また東京証券取引所は、近年市場再編を進めると共に、PBR向上などへの要請を強めており、上場企業としての適格性や成長性がより問われる中で、足元、ベネッセHDにとって株式市場からは厳しい評価が突き付けられていた。

 ベネッセの説明によれば、創業家の提案を受け、今回の検討を今年5月から開始したという。創業家による提案の骨子は、(1)出生率の低下、大学入試改革、介護の人材不足など社を取り巻く環境が大きく変化していること、(2)5⽉に出した変革事業計画の実現に向けて長期的・持続的な変革が不可避であり、有力な外部パートナーの知見を活用し非公開化することが、スピードと計画の実現確度を高め、ひいては企業価値を高めることに有益であること、(3)EQTグループは、創業理念やパーパスがベネッセに近く、グローバルで教育・介護分野への豊富な投資実績とノウハウを有し、先進的なデジタルノウハウを持つチームや投資先も豊富であり、ベストなパートナーであると考えられること、の3点だった。

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