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[M&A戦略と会計・税務・財務]

2018年7月号 285号

(2018/06/15)

第133回 データの利活用推進によるPDCA体制・経営管理体制の確立

〜外食フランチャイズチェーンのPMI・経営改善事例〜

藤本 慎司(PwCアドバイザリー合同会社 マネージャー)
1. はじめに  ― データの経営への活用 ―

 近年、顧客データや業務データを分析し、経営や業務を改善させる取組みが盛んになってきている。テクノロジーの進化・分析ツールの普及が加速(多額の投資を要さないBI(Business Intelligence)ツールにより様々な分析が行い易くなっている、等)するにつれ各社様々な取り組みを実施しており、既に多くの事例が見られるようになってきている。例を挙げると楽天、良品計画、ヤフー、パナソニック、ジヤトコなど、顧客データやPOS(Point OSales)データ等を活用し、顧客獲得力向上(商品の需要予測、商品・サービス開発等)や現場の作業効率向上・品質管理等につなげている(注1)。

 一方で、企業のデータ活用には課題も様々認識されるようになってきている。ICT(Information and Communication Technology:情報通信技術)関連企業を調査対象とした約360社のアンケート(注2)結果によると、約50%の企業でデータ活用が進捗している一方で、データを収集・管理する方法やそのコスト、利活用に課題意識を持つ企業が多く(図1)(注2)、データ活用ニーズの高まりを受け“データは使ってはみるものの経営改善等への利活用に苦労”している企業の割合が高いことが見て取れる。

データの利活用状況と活用に関する課題

 このような背景を受け、本論考ではPMI(Post Merger Integration)にてPwCが支援した外食フランチャイズチェーン(以下、支援先企業)のデータ活用・経営改善事例を紹介する。加えてデータ活用による経営改善を進める上でポイントになり得る事項について考察・共有したい。なお、情報の取り扱い制限上、顧客名を連想させる情報は適宜加工・削除しており、内容が一部具体性に欠ける点については了承いただきたい。


2. 支援先企業の置かれた状況と課題

2.1. 支援先企業を取り巻く環境

 国内外食産業を概観すると、市場規模は徐々に拡大している一方で、人員不足の表面化(図2)(注3)など対応すべき問題も多い。他社のレポートを引用すると、コスト削減・人員減などの課題へ対応し成長を加速させるために、データ活用を強化するニーズがあると推察される(注4)。

市場規模の推移と課題

 また、成長加速に向けM&Aも活用されている。例えばクリエイト・レストランツ・ホールディングスは多ブランド化を梃子に成長を加速させる上で好・不調企業ともに買収、生産性向上のため機械化・IT化も積極活用している(注5)。このような状況でのPMIは、抜本的な改革や経営管理体制の再構築が必要となることもあると推察される。

2.2. 支援先企業が抱える課題

 支援先企業は、売上高数百億円以上の外食フランチャイズチェーンであり、直営店の運営と共に、フランチャイザーとしてフランチャイジーのマネジメントも行っている。近年の業績は、売上高の継続減少かつ営業利益マイナスが常態化し、さらなる成長に向け思い切った改革が必要な状況であった。PMI支援開始時に確認された状況認識(全体像)と本論考での中心的な紹介対象を(図3)に示す。支援先企業は、「ベースとなる経営管理体制が弱い(Plan-Do-Check-Action体制の構築が弱い)」ため施策展開の質・スピードが落ちており、結果、収益の悪化を招いていた。さらに成功体験の積み上げが少ないにもかかわらず「“それでもやっていけている”安心感による危機感の低下」により、スピード感をもって戦略・施策を“やりきる”組織風土が醸成されていない状況であった。

不振に陥った状況の認識(全体像)と本論考での中心的な紹介対象

 なお、以降は、業績停滞の端緒となっている「ベースとなる経営管理体制の弱さ」とそれが引き起こしていた状況への対応を中心に事例を紹介する。

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