自己株対価のTOB法制改正の機運
本年4月より法制審議会に会社法制部会が設置され、6月23日には、経済産業省が「今後の企業法制の在り方について」と題する意見を同部会に提出している。この中では、企業の組織再編・M&Aなどの選択肢を整備し、これを多様化しつつ、株主保護手続の再構築を図るべきことが企業法制の見直しの柱の1つとされ、その具体的提案の1つとして、自己株対価のTOBの利用促進が挙げられている。
また、同日開催された同部会においては、金融庁からも、「金融・資本市場の観点から重要と考えられる論点」が提出され、自己株対価のTOBのニーズを検証するとともに、その実効性を高めることの検討が求められており、自己株対価のTOBを行いやすくするための改正を行う機運が高まっている。
そこで、本稿では、自己株対価のTOBの現行法上の問題点について整理した上で、今後の法改正の議論において検討すべき事項を論じることとしたい。