[寄稿]
2014年5月号 235号
(2014/04/15)
我が国の事業者、特にその大勢を占める中堅・中小事業者においては、元来「他者からの資本受入れ」に対する評価が十分でないと考えられ、特に、海外からの資本参入(海外事業者との投資提携)には、「なんとなくの拒否感」が存在することも事実である。
一方で、海外事業者との投資提携は、資本増強や資金調達のための資金受入れのみを目的とするのではなく、併せて、投資元との「技術提携」や「事業提携」などが行われれば、自社の技術力の高度化や新商品の開発、また、国内外での販路の拡大、ひいては自社事業の海外展開に資するケースが存在する。
このため、我が国の中堅・中小事業者は、海外事業者との技術・事業・資本提携を土台とした協業関係の構築について、厳しい経営環境を打破する経営手法の一つとして、あるいは、自社事業を拡大させる経営資源の一つとして活用を検討すべきではないか、と考える。
また、2013年6月に決定された「日本再興戦略」においては、「対内直接投資残高を2020年に倍増(2012年17.8兆円→35兆円)する」との目標が掲げられたが、我が国への直接投資は、いわゆる「グリーンフィールド投資」の割合は2割程度と低いことから、こういった資本参入等の投資を増加させることにより目標を達成する助けとすることも必要と考えられる。
このような問題意識のもと、当省において、「平成25年度アジア拠点化立地推進調査等事業(海外事業者との投資提携の定着に関する調査)」を実施し、海外事業者との投資提携を行った企業の経営者や投資提携の担当者から直接ヒアリングを行うとともに、企業間の提携に関する実務や法律・会計等の専門家で構成される委員会においてその内容の分析を行った。この取りまとめ結果に基づき、経済産業省貿易経済協力局において再編集を実施し「海外事業者との投資提携事例集(協業で未来を拓く)」として公表するに至ったものである。
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