[業界動向「M&Aでみる日本の産業新地図」]

2014年9月号 239号

(2014/08/15)

第116回 重電業界~M&Aを通じて変貌を遂げてきたGEとシーメンス

 澤田 英之(レコフ リサーチ部長)
  • A,B,EXコース

1.仏重電大手アルストム・エネルギー部門は米GEの傘下へ

  仏重電大手アルストムのエネルギー部門を巡って4月から展開されていた米ゼネラル・エレクトリック(以下「GE」)と独シーメンス(後に三菱重工業がシーメンス側に参画)による買収戦は、GEが買い手となることで決着した(図表1)。

  当初、GEはアルストムのエネルギー関連部門を約1兆7000億円で一括買収する案を提示していたが、シーメンス・三菱重工業が合弁会社設立による事業統合を軸とした対案を提示したことに伴いGEも修正案を提示した。アルストムはこの修正案に賛同した。

  修正案は、(1)GEによるアルストムのガスタービン事業の買収、(2)蒸気・原子力タービン、送配電、洋上風力・水力発電の3事業をそれぞれ折半出資合弁会社設立によって統合、(3)GEの鉄道信号事業のアルストムへの売却を柱としている。また、(1)原子力発電所の安全・技術に関わる問題にはフランス政府による拒否権の行使を可能とする、(2)GEはフランスにおいて3年間で1000人規模の新規雇用を創出する、といったフランスへの配慮も含んでおり、これによってフランス政府からも支持を得た。

  なお、フランス政府はアルストムの筆頭株主であるフランス複合企業のブイグから株式を譲り受け、最大で20%の筆頭株主になる方針と伝えられている。

 

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