[業界動向「M&Aでみる日本の産業新地図」]

2024年3月号 353号

(2024/02/09)

第227回 監査業界 ~監査法人とM&Aの変遷~

佐藤 幹也(レコフ)
  • A,B,C,EXコース
1. はじめに

 近年テック企業の成長が著しく、AIなどが話題に挙がることが多くなっている。そんな中AIの発展に伴って職が失われると言われている職業の1つに公認会計士がある。公認会計士は会計・監査の専門家として、独立した立場において「監査証明」を主たる業務とし、「会計」「税務」「コンサルティング」の業務を行うことができる資格職であるが、AIが得意な分野として、単純な作業や定型的な数値チェック、違和感チェックといった作業があるため、会計士が行っているような前年度の数値チェック、残高確認、償却費の計算チェックといったような内容はAIに取って代わられると言われているのである(注1)。

 そんな会計士の多くが所属するのが監査法人であり、監査法人とは、公認会計士法に基づき、会計監査を目的として設立された法人である。筆者もM&A業界に携わる前は公認会計士として監査法人に勤めていた経験があり、監査法人の変遷はM&Aとも深く関わりがあることから、監査業界をテーマに取り上げることとした。
(注1)本旨とは外れるため詳細な記述は避けるが、会計士の仕事がAIに代替される可能性について、コンサルティング業務等のサービスにおいては会計の知識のみならずファイナンスや税務、経営など複雑な知識を複合的に使用すること、また会計士の仕事は経営陣やクライアントとのコミュニケーションが必要とされるため、全部の業務をAIにより代替することは難しいと考えられている。この点、日本公認会計士協会のHPにて「公認会計士業務とAI」の特集も組まれているため、適宜参照されたい(https://jicpa.or.jp/cpainfo/ai.html)。
2. 監査業界について

 そもそも監査とは何だろうか。経理部など日頃より会計業務に携わっており、監査法人とやり取りがある方はイメージがつくかもしれないが、会計業務にあまり携わらない方はイメージがつかないかもしれない。監査とは一言でいうと


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