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[業界動向「M&Aでみる日本の産業新地図」]

2016年11月号 265号

(2016/10/18)

第141回 ネット・エンタテイメント業界「増加しつつあるAI(人工知能)関連のM&A~ネット・エンタテイメント大手の例」

 澤田 英之(レコフ リサーチ部長)

1.はじめに~急速に進化してきたAI

  2016年3月、グーグル子会社のグーグル・ディープマインドが開発した囲碁AI(人工知能。Artificial Intelligenceの略)「アルファ碁」と、韓国のトッププロ棋士イ・セドル九段が対局した。結果はアルファ碁が4勝1敗と大きく勝ち越し、囲碁界だけではなく関係者に大きな衝撃を与えた。AIが加速度的に能力を高めて自動的に進化するようになり、人間の知能を上回り人間には制御不可能となる転換点をシンギュラリティー(技術的特異点)と呼ぶが、グーグルの囲碁AIがトッププロに勝ち越すといった状況に鑑み、囲碁の世界ではシンギュラリティーが発生しつつあるとの見方も出ている。

  グーグル・ディープマインドの前身は、グーグルが2014年に買収した英国のベンチャー企業、ディープマインド・テクノロジーズである。同社は神経科学者のデミス・ハサビス氏等が2010年に設立。機械学習(文末注1参照)の技術とシステム神経科学(文末注2参照)を合わせた学習汎用アルゴリズムを構築し、自動運転車などに活用できるAI技術を有していた。アルファ碁の勝利は、教えたことの再現だけではなく自ら学び考える「ディープラーニング(深層学習)」という技術によってもたらされた。同社はアルファ碁で培った技術を通訳やスマートフォンのアシスタント機能、ヘルスケアといった他の分野への活用を検討すると伝えられている。

  日本でもネット・エンタテイメントに関連する企業がAI活用に向けた研究や試みを積極的に行っている。以下、本稿ではスマートフォン向けゲーム開発大手のディー・エヌ・エー(DeNA)と動画投稿サイト運営等を手掛けるドワンゴ(カドカワ子会社)の最近の動向をまとめてみた。

  DeNAについては2015~16年にカメラやセンサー、GPSを搭載した自動運転車の試行運転が話題となった。今後は自動バス運転サービス実現に向けてAIを本格的に活用していく意向である。

  またドワンゴは、プロ棋士とソフト会社に勤務するエンジニアが開発したAIソフトとの将棋対局を、同社のインターネット動画配信サービスで中継したことがAIの研究着手のきっかけと言われている。最近ではAIソフトはトッププロに連勝するレベルにまで進化している。

  後述するように、両社はAI開発に向けて、他企業、他機関との提携やベンチャー企業との資本・業務提携などを通じて不足しているリソースを外部から補ってきた。なお2016年6月、東京大学がAI研究者育成を目的に寄付講座を開設したが、両社はトヨタ自動車やパナソニックなど他6社と並び、寄付企業として名を連ねている(文末注3参照)。

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