「ポスト・新型コロナ」の企業再生のための金融はどうあるべきか。企業に資本性の資金を迅速に入れることができるのは、他の事業会社によるM&Aでなければ、プライベートエクイティ(PE)ファンドしかない。銀行と民間・独立系のファンドが力を合わせて社会に必要な企業を再生させ発展させることが期待されている。新型コロナウイルスによって引き起こされる驚くべきショックを吸収するのに適したポジションにあるPEファンドのトップに、「ポスト・新型コロナ」の企業再生に果たす役割と課題について緊急インタビューした。 リーマン・ショックとは異なる大恐慌
―― 国際通貨基金(IMF)が4月14日に発表した世界経済見通しによると、2020年の世界全体の成長率は前年比3.0%減としています。IMFの統計でさかのぼれる80年以降、世界経済のマイナス成長はリーマン・ショック直後の09年の前年比0.1%減だけです。新型コロナウイルスの感染拡大による影響は、2008年のリーマン・ショックの水準をはるかに上回るもので、世界経済は1920~30年代の大恐慌以来最悪の同時不況に直面していると見られています。安東会長は、足元の新型コロナウイルスによる世界的な経済危機についてどのように見ておられますか。
「リーマン・ショックの発端は、サブプライム・ローンの野放図な拡大で膨れ上がった米国の住宅バブルの崩壊でした。結果として、リーマン・ブラザーズ・ホールディングスなどの金融機関の破綻や危機が続き、連鎖的に世界規模の金融危機へと広がりました。しかし、今回は新型のウイルスのパンデミックによって物理的に人と物が動かないという点で大きな違いがあります。リーマン・ショック後の空前の量的金融緩和によって、金利がもともと低い状態なので、金融政策(利下げ)は、前回と比較して景気刺激効果が薄い状況にもあります。その意味では、リーマン・ショックとは異なる不況、大恐慌と呼んでいいのではないでしょうか。
1929年の世界大恐慌に匹敵するぐらいの負のインパクトがある状況だとすると、財政再建の遅れを覚悟のうえで、1年分の発行額の国債を発行することも必要になると思います。問題はそれをどう使うかということです。日本の雇用慣行に照らして言えば、個人にばらまくというのではなくて、企業の資金繰り支援による雇用の確保に全力を投入すべきです。民間の金融機関による緊急融資の実施はもちろん、雇用確保のために使われた資金分は債務免除をする仕組みが欲しい。
それと、政治家は何かというと『中小企業』支援と言いますが、