＜ポイント＞
〇青果の生産・販売・営業など、あらゆる機能を1社で「垂直統合」し急成長
〇流通プラットフォームを他社にも開放、稼働率を上げることで投資を回収
〇生産性向上や人手不足対応、高齢化、農産物流通コスト削減は食品業界全体の課題
〇取引先企業との密接な信頼関係を軸に、M&Aを多数実施
生鮮食品界の注目企業
青果の生産・加工、受発注システムの開発から各小売店への営業・販売、消費者対応までの全プロセスのサービスを手掛ける青果の総合流通グループ、ファーマインド（東京都千代田区、堀内達生社長）は、近年急成長を遂げる注目企業だ（図表1）。
【図表1】ファーマインド社の概要| 会社名 | 株式会社ファーマインド |
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| 設立 | 2006年12月1日 |
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| 本社所在地 | 東京都千代田区神田和泉町1番地 |
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| 代表取締役社長 | 堀内 達生 |
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| 資本金 | 7,028百万円 |
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| 売上高(連結） | 1,040億円（2022年12月期） |
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（出所）同社HPより作成
ファーマインドの前身であるフレッシュMDホールディングスの設立は、2006年12月。その後、2015年7月1日にフレッシュMDホールディングス、フレッシュシステム、フレッシュリミックス、アインバンドホールディングスの4社が合併し、社名を「ファーマインド」に商号変更した。2022年12月期の連結売上高は1040億円で、従業員数は1565人（22年12月末時点）。現在は、順調に業容拡大を続けている。
ファーマインドのグループとしての事業内容は多岐にわたるが、ビジネスの特徴は、バナナ、アボカドなどの青果物の輸入・加工、ブロッコリーなどの青果の生産、そしてそれらの販売、顧客対応まで、「青果流通の全プロセス」をフルカバーしている点だ。川上から川下までの全ての工程を、一気通貫で手掛ける仕組みを構築している。
大きな強みとなっているのが、青果を適切な温度帯で管理し流通させることのできる「コールドチェーン」（注）の高い技術を有する点だ。これにより、青果を安定した品質で供給することができる。青果の品質管理を得意としており、生産から販売に至る各プロセスの輸送・物流、品質管理やマーケティングサービスの提供までを手掛けることができる。
（注）生鮮食品の入荷から出荷後の配送まで、食品に適した温度帯を保持させ、鮮度を保った状態で流通させることをコールドチェーンという。
全国各地の拠点となる青果専用センターでは、具体的に、青果物の追熟加工・リパック・カットフルーツ加工や庫内ロジスティクス、などの機能を持つ。それだけではなく、「お客様センター」の運営、システム開発などを担当する部門やグループ会社も有する。
現在は国内外の農業法人も経営している。ブロッコリーを軸に、リンゴ、イチゴ、ブドウ、ナシ、サツマイモなどの栽培にもグループ内の農業法人において生産・販売に取り組んでいる（写真）。なかでも、ブロッコリーは現在、ファーマインドが日本最大規模の生産者である。
同社が運営する果樹園や農園
ファーマインドは、創業以来「生産者と消費者を繋ぐ」という企業理念を掲げている。産地と消費者をつなぐ「コールドチェーン」と情報ネットワークを核とした「青果の総合流通プラットフォーム」を築いて、青果流通の課題解決や効率化を進めている。
【図表2】青果流通の全プロセスをカバーする機能を持つ
（出所）ファーマインド社
ファーマインド設立の経緯
バナナの輸入・国内販売を手掛ける外資系大手企業で知見を蓄えた堀内社長は、ファーマインドの母体企業となる「フレッシュシステム」を約30年前に起業した。当時、主にフィリピンの畑で収穫され日本に船舶で輸出される緑色のバナナを、新鮮な状態で消費者の手元に届けるのは容易ではなかった。同様のタイミングでバナナが日本に到着しても、ある量販店では非常にいい状態でも、荷扱いの影響により別の量販店では黒い斑点が出ているような状態になることもあった。
下戸章弘取締役
そこで、品質が一定程度に保てたバナナをきちんと消費者に届ける仕組みづくりが必要だと堀内社長が考えたのが、フレッシュシステムの設立の経緯だ。ファーマインドの下戸章弘取締役は、「ブランドオーナーとして良いものをきちんと消費者に届けられておらず、その解決策を打ちたい、というのが青果の流通・加工会社を起ち上げることになった最初の動機だった」という。
