[Webマール]

(2024/04/26)

ソラコムが「スイングバイIPO」、M&Aも活用し「IoT SaaS」に注力

――自社でもM&Aチームを組成し、グローバル展開へ

玉川 憲(ソラコム 代表取締役社長)
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玉川氏
KDDIは2017年8月、IoT向け通信サービスのソラコムに約200億円を投じ、過半数の株式を取得して連結子会社化した。ソラコムはKDDI傘下で成長を続け、2024年3月に「スイングバイIPO(スタートアップが大企業の子会社となってから成長を遂げたのち、IPOすること)」に成功した。上場後のソラコムの株式時価総額は768億円にもなる(4月18日時点)。

ソラコムの2024年3月期の業績は営業利益で5期連続黒字を達成する見込み。KDDIとの相乗効果が生まれている理由として、ソラコムの玉川憲社長は双方の深い理解に基づく協業の効果を挙げる。2者間で共通のビジョンや目標を設定した上で、KDDIはソラコムの革新性や柔軟性を学び、一方のソラコムはKDDIの経営資源を活用している。

また、玉川社長はM&Aを進める際には、「契約の明確化」が非常に重要であると話す。KDDIとのM&Aでは、どの経営リソースが共有され、どの技術が独立して保持されるのか、責任と権限の範囲も契約で明確に定義した。これにより、後々の問題発生可能性を未然に防いだ。

ソラコムの事例は、大企業とスタートアップ間のM&Aが、双方に多くの利益をもたらす可能性があることを示唆する好事例であり、他社にも参考になりそうだ。

玉川社長に、KDDIにM&Aをされたことのメリットや、M&Aにおいてスタートアップが気をつけるべきこと、今後のソラコムのM&A戦略の基本的な考え方について聞いた。
KDDI髙橋社長との連携がベースに

―― KDDIにM&Aをされました。当時の経緯を教えてください。



■玉川 憲(たまがわ・けん)
1976年大阪府生まれ。東京大学工学系大学院機械情報工学科修了。米国カーネギーメロン大学MBA(経営学修士)修了、同大学MSE(ソフトウェア工学修士)修了。日本IBM基礎研究所でウェアラブルコンピュータの研究開発に従事。2010年にAmazon Data Service Japanにエバンジェリストとして入社、AWS日本市場の立ち上げを技術統括として牽引。2015年ソラコムを創業。

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