前田建設工業などを傘下に持つインフロニア・ホールディングスは2024年1月、風力発電大手の日本風力開発を約2000億円で買収した。
インフロニアHDは中長期経営計画で、「2030年度にグループ全体で営業利益1000億円以上」を目指しており、日本風力開発はグループの中核企業への成長が期待されている。
岐部一誠・取締役代表執行役社長兼CEOに日本風力開発買収の狙いと、インフロニアHDのM&Aの実施方針について聞いた。
日本風力開発の買収の経緯 ―― インフロニア・ホールディングス(HD)は2024年1月に風力発電大手の日本風力開発を
完全子会社化しました。このM&Aの狙いを教えてください。
「当社は『脱請負』を掲げ、ものづくりに付帯するサービスを主体とするビジネスモデルへの転換を目指しています。そのために前田建設、前田道路、前田製作所の3社が中心となって協力し、シナジーを生み出しながら挑戦しています。
大きな成長マーケットの対象は、官民連携・コンセッションと再生可能エネルギーの2つです。なぜかというと、これらは、自分たちが事業の当事者として投資し、インフラの開発・建設・運営に携わり、場合によっては
エグジットするなど、資本のリサイクルも可能なビジネスモデルとしての可能性があるからです。特に再生可能エネルギー分野では、太陽光や風力、バイオマスなどを開発していますが、スピードも規模も必要な量にまだ足りていません。日本風力開発は日本有数の風力発電の開発会社であり、戦略上非常に有力な企業だと考えました。チャンスがあったため、買収に挑戦したということです」
―― 以前から買収の検討対象としていた会社なのでしょうか。