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[寄稿・寄稿フォーラム]

2019年2月号 292号

(2019/01/18)

プライベートエクイティファンドの投資:日米比較とリターン・シミュレーション

井上 光太郎(東京工業大学・工学院経営工学系・教授)
木村 隆之(東京工業大学・工学院経営工学コース・大学院生)
1.はじめに

 プライベートエクイティファンド(以下、PE)については、昨年にはベインキャピタルを中心とするグループによる東芝メモリの買収や、GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)の投資対象への組み入れなど、今後その投資活動が益々広がると予想させる出来事があった。その意味で、新時代の始まりを目前にする年頭において、PEをテーマにすることは意義があるだろう。しかし、PEは関係者以外にとっては謎に包まれた存在だ。これは文字通り、そのプライベート性によるものだ。投資資金募集は私募であり、投資対象も投資後にはほとんどが非上場企業となるため、PEおよび投資先企業に関する開示情報はほとんどない。PEのホームページを見ても、投資内容や投資パフォーマンスに関する情報提供はほとんどなく、実態は不明だ。しかし、その市場における重要性は増大しており、産業再編の潤滑油の役割を果たしている。今後は上場企業に対するコーポレートガバナンスへの要請の高まりとともに、上場を回避して非上場を選択する企業が増えることも予想されるが、その際もPEが重要な株式資本提供者となるであろう。

 米国ではPE市場が日本より早くから発達し、その市場規模も日本をはるかに上回るため、PE投資のパフォーマンスのベンチマークの存在や上場会社PEの存在などにより、日本よりは透明性が高い。しかし、その米国でもPEは謎の多い存在であることに変わりはない。このような米国のPE投資の実態を明らかにしようというサーベイ調査(アンケート調査)による研究にGompers, Kaplan, and Mukharlyamov (2016, Journal of Finance 121)がある。日本においても東工大の井上研究室において、ユニゾン・キャピタル、カーライルグループ(日本)、KPMG FASの協力を得て、Asian Finance Association 2018 Conference in Tokyoのイベント準備の一部として同様の調査を実施した。この日米でのそれぞれのサーベイ調査の結果から、日米のPE投資の類似点と相違点が明らかになってきた。筆者たちは、その詳細についてDiscussion Paper『PE投資の日米比較:サーベイ調査』にまとめているが、ここでは特に実務家に興味を持って頂けそうな部分を抜粋し速報として報告したい。


2.サーベイの概要と日米のPEの相違点と類似点

 まず、米国のサーベイは2012年から13年に実施され79ファンドが回答している。日本のサーベイは2018年4月から5月に実施され、31ファンドが回答している。いずれも回答率は5割以上で各市場の代表的PEの大半から回答を得ており、またほとんどがパートナー・ディレクターなど幹部の回答であることから、少なくともサンプルには深刻なバイアスはなく、回答内容の信頼性も高いと考えられる。サーベイに回答したPEの運用資産総額はそれぞれ中央値で米国は

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