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[Webインタビュー]

(2020/07/14)

【第118回】【ドーガン】Webメディア『Qualities』創設で地方創生のボトルネック解消に挑戦する

森 大介(ドーガン 代表取締役社長) 
日野 昌暢(Qualities 編集長 / プロデューサー)

左から日野 昌暢氏、 森 大介氏


『Qualities』発刊に込めたもの

―― このほど、ローカル発Webメディア「Qualities(クオリティーズ)」と九州で働きたい人と優良企業のマッチングサービス「Qualities Offer」を同時にスタートされました。まず、森社長からQualities創設の経緯と狙いについてお話しいただけますか。

 「金融の地産地消を掲げ、東京への一極集中の是正がこの国の将来を支えるという理念を抱いてドーガンを創業してから16年が経ちました。私たちの活動は、災害や新型ウィルスとの闘いの中で、働き方の多様化やテクノロジーの進展と相俟って、多くの人々から賛同を得るようになってきました。この間、投資やM&Aや経営コンサルティングといった主業務権限については、それぞれの執行役員に任せて、私も50歳を超えましたので、今後ライフワークとなる新しいことにチャレンジしたいと考えていたのです。

 今申しましたように、多様な働き方、生き方が実現できる時代が到来していると言われます。しかし、東京への一極集中はまだまだ加速しているのが現実です。何が足りないのかをずっと考えてきたのですが、それは愛する九州の情報が発信できていないから、九州で活躍したい人が帰ってこれないという事実に気づいたのです。

 若い人が九州に戻って仕事がしたいと考えても、JR九州とか九州電力のような大手企業にはいつもキャリアに合うポジションがあるわけではないし、かといって起業しようとしてもリスクが大きくて、家族の同意を得られないということもあります。一方で、私たちが普段投資したり、経営支援をさせていただいている先には魅力的な会社がいっぱいあります。地元にはもちろん様々なメディアがありますが、そういう会社に関しての情報は東京にいる人には届いていない気がしたのです。

 こうした中で、2年ほど前に日野さんとの出会いがありました。日野さんは福岡の出身で、博報堂ケトルで、地域活性をマイテーマに活動し、福岡市が運営するニュースサイト『#FUKUOKA(ハッシュフクオカ)』や、高崎市と運営するウェブマガジン『絶メシリスト高崎』、広島県観光キャンペーン「牡蠣食う研」をプロデュースしてこられました。日野さんは、九州のことが東京に伝わるようなWebメディアが必要だと言われ意気投合しました。そして、メディアで大儲けを狙うのではなくて、トントンでもいいから収支が取れるような収益モデルを作ろうと考えて今回スタートにこぎつけたわけです」

収益モデル

―― どのような収益モデルですか。

 「Qualitiesは、九州のいいヒト、いいコト、いいシゴトをテーマに、九州の優秀人材や優良企業、九州ならではの暮らしやカルチャーに焦点を当てて、首都圏や関西圏などの域外向けに情報を発信していくローカル発Webメディアですが、ドーガンは、2012年に人材紹介免許を取得していました。それまでは九州に帰りたいという人をボランティアで地元企業に紹介していたのですが、免許を取得したことでビジネスとして行うことができるようになったのです。紹介手数料は、年収の30~35%が人材派遣業の通例のようですが、そのような手数料なら紹介は不要だと考える地元企業も多く、紹介手数料もリーズナブルなものにして、投資銀行を本業とするドーガンが厳選した優良企業とのマッチング機会を、ワンストップで、そして全く新しいサービス体系で提供する人材紹介マッチングサービス『Qualities Offer』も同時に併設することにしたのです」

地方の課題は情報発信力と情報アーカイブ力

―― 日野さんの『Qualities』に込めた思い、編集長としてどういう情報を誰に発信していこうとお考えなのかについてお話しいただけますか。

日野 「2014年に政策から生まれた地方創生という言葉は、東京への過度の人口集中を緩和して日本全国に人を分散させようという狙いがあったと思います。確かに、地方に移住したいと考える人たちが増えていますが、残念ながら東京への人口集中の流れは止まるには至っていません。大きな阻害要因の一つとして、地方移住の意向をもつ人々が欲しい地域の情報が少ないことにあると思っています。地方の課題としては情報発信力と情報アーカイブ(蓄積)力にボトルネックがあって、域外への情報発信を前提とした“ローカル発Webメディア”が少ないのです。

 森社長からもお話がありましたように、私は、仕事を自治体さんからいただき、東京に拠点を持ちながら様々な地域で活躍する方々にお会いしてきました。そうした中で、東京で働く方の中には、自分の地元エリアに戻りたい、関わりたいと考えるたくさんの人々がいるにもかかわらず、地域の情報が見えないことから、選択肢を持てずにいる状況も見えてきました。また、地域で素晴らしい活動や事業を行われている方々の情報についても、たくさんのメディアがある東京に比べて、域外で知られるチャンスがとても少ないという現実も肌で感じました。なぜ、ローカルにそういうことを域外に伝えるメディアが少ないのか。その原因は単純で、メディア運営は儲からないからです。例えば、自治体予算で運営しても、予算が永続的につくわけではありませんから、どこかでやめなければいけなくなります。しかしメディア事業は継続しないと意味がありません。このたび森さんという良きパートナーを得て、ローカル発Webメディアを民間の力で黒字化して継続運営するビジネスモデルを確立し、メディア事業として成立させながら、九州のめちゃくちゃ面白いヒト/コト/シゴトを紹介していくというチャレンジをカタチにできました。ずっと構想を温め、準備をしてきたことが実現できてうれしく思っています」

Webメディアはマネタイズが課題

―― Webメディアの運営はどこも大変です。森社長が言われたように、人材紹介マッチングサービス『Qualities Offer』を同時に併設して収益モデルを作ったことが大きなポイントですね。

日野 「ご存じのように、Webメディアはマネタイズがすごい難しく、東京の有名なWebメディアでも、実体は赤字というところが少なくありません。ただ、これまで紙媒体でやってきたところも、紙の事業に加えてWebも持たざるを得ないから、Webは赤字だけどやっているというところも多いのです。いわんや、それがローカルWebメディアになると余計に難しい。PVがたくさん来ることを前提にした広告モデルでWebメディアを運営しようとしても、なかなかうまくいきません。今や、全てWebで調べる時代なのにWebメディアがないからローカルの情報がWeb上にアーカイブされなくて、そのWeb上の情報不足こそが地方創生がうまくいかない根本の原因の一つだと気づいて。でも、もともとないから、それを困ったとさえ思ってない人が多数という状況もあるんです。私はそれに気づいてしまったからにはこの社会課題を解決することが自分の使命だと思うようになりました。森さんとの出会いで、その壁を壊すことができるビジネスモデルが生まれたわけです」

サイト構成

九州各県在住の優秀なライターを配備
”外から目線”と”内から目線”とのハイブリッドで

日野 「頭文字のQは九州のQで、取材テリトリーは私の故郷でもある九州に絞りました。サイトのタグラインは『九州のいいヒト、いいコト、いいシゴト』です。ただ冒頭にもお話したとおり、...




■もり だいすけ
1967年 熊本県熊本市生まれ。中央大学法学部法律学科卒。91年日本長期信用銀行に入行。98年シティバンク、エヌ・エイに転身し、福岡出張所の初代所長として九州経済界での人的ネットワークを構築。その後、金融の地産地消を故郷九州で実現すべく、2004年(株)ドーガンを設立。

■ひの・まさのぶ
1975年 福岡県福岡市生まれ。九州芸術工科大学 大学院芸術工学府修了。2000年に博報堂に入社。14年に博報堂ケトルに加入し、地域活性をマイテーマに活動。ヴィレッジヴァンガードフリーペーパー VV Magazine 編集長。福岡市が運営するニュースサイト『#FUKUOKA』や、高崎市と運営するウェブマガジン『絶メシリスト高崎』、広島県観光キャンペーン「牡蠣食う研」をプロデュース。


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