[視点]
2011年1月号 195号
(2010/12/15)
1.はじめに
わが国でも、21世紀に入って10年余を経過し、公共社会における経済的格差がますます大きくなっている。私たちの社会が、現在蔓延しているような金融資本主義の価値観で、将来も立ち行くのかという疑問が伏線となって、公共哲学の復権が見られる。とくに、昨年は、マイケル・サンデル著、鬼澤忍訳の『これからの「正義」の話をしよう-いまを生き延びるための哲学』(早川書房、2010年)が、テレビ放映の効果もあってベストセラーとなり、多くの人々に読まれるに至った。
本稿は、会計基準を社会的選択としてみて、公共哲学の観点から、会計基準作成上の「規準」とされている幾つかの概念を検討することが目的である。なお、本稿では、会計基準に焦点をあてることから、公共社会という用語を、会計社会を念頭に使用することにし、財・サービスの市場、労働市場そして資本市場の構成員を「公共社会(会計社会)」の構成員として考察する。
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