[特集インタビュー]

2014年3月号 233号

(2014/02/15)

ベンチャー企業投資を巡る官と民の役割分担について

 安達 俊久(日本ベンチャーキャピタル協会 会長)
  • A,B,EXコース

安達 俊久(日本ベンチャーキャピタル協会 会長)

厳しい環境が続くベンチャーキャピタル業界

-- 安達会長は、長年にわたってベンチャー企業投資に携わってこられたわけですが、日本のベンチャーキャピタル(VC)の現状はまだまだ厳しいようですね。

  「日本のVC業界を取り巻く環境は、厳しい状況が続いています。リーマンショックの翌年度の2009年度には1000億円を割り込んで875億円にまで落ち込みました。12年4月から13年3月末までの間に行われたVC等によるベンチャー企業の投融資額は1026億円となり、回復基調にあるとはいうものの、ピークであった06年度投融資額が2790億円でしたから約3分の1にまで縮小しています。この原因は、08年9月のリーマンショック後の世界金融危機というマクロ経済的な要因もありましたが、国内要因としては06年のライブドア事件が我々の業界に対して大きなインパクトを与えました。日本のベンチャー企業の40%強がIT系ですが、ライブドア事件を機にベンチャー企業に対する不信が社会全体に広がったのです。その影響でベンチャー企業に対して投資を行うどころかベンチャー企業と組んで何かをやってみようという機運が萎えて、VCのファンド組成環境が厳しくなり、ベンチャー投資を行うVCの数も減少してしまったのです。年間の新規上場企業数について見ましても、09年がボトムで19社です。しかも、これは新興企業だけではなく、東証1部への上場企業も含めての数字で、このうち13社が新興企業ということで、歴史的にも最悪の年となりました。ピークは2000年の204社ですから10分の1以下になったわけです。それが、ようやくここ3年間で微増してきて、13年上半期の新規上場会社数は前年同期比約18%増(+3社)の20社と、09年以来4年連続で増加しています。

  日米の比較で見ますと、米国においてはVCによるベンチャー企業への年間投資額は12年(暦年)で267億ドルとなっていまして、ピークだった11年の295億ドルに比べると減少しているとはいうものの、日本とは桁違いです。日米のGDPを比較しますと1対3.3ですが、経済規模の差を勘案してもいかにも少ないというのが現状で、我々は非常に危機感を持っております」

規制緩和が追い風

-- 安倍政権下では、成長戦略の一環としてベンチャー企業の育成に関する支援策に力が入れられていますね。

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