[特集インタビュー]

2016年2月特大号 256号

(2016/01/19)

ギリシャ危機で崩壊の淵に立たされる「ユーロ圏」の今後を読む

 竹森 俊平(慶應義塾大学 経済学部 教授)
  • A,B,EXコース

竹森 俊平(慶應義塾大学経済学部 教授)
目次

ギリシャ危機発生の背景

-- 2009年のギリシャの財政問題を契機に2010年にユーロ危機が発生しました。これを受けてギリシャへの支援策が11年に行われ、さらに12年にも新たな対策が打ち出されたのにもかかわらず危機は解消せず、ユーログループ(ユーロ圏諸国財相会議)は15年8月、ギリシャへの第3次金融支援プログラムを承認しました。竹森先生は、近著『逆流するグローバリズム』(PHP新書)、『欧州統合ギリシャに死す』(講談社)で、そもそも欧州統合システムの脆弱性が原因であると指摘されています。そこで、ギリシャ危機とユーロ圏の今後について、お話を伺っていきたいと思いますが、まず、ギリシャ危機問題発生の背景からお話しいただけますか。

「ユーロ圏とは、欧州連合(EU)に加盟(28カ国)し、共通通貨ユーロを導入している諸国(19カ国)で形成される経済圏で、1999年1月にEU加盟国中の11カ国で単一通貨ユーロが導入(ユーロ貨幣の流通は02年1月から)されたことからスタートしています。ユーロ圏は、財政統合を伴わないということが大前提でしたが、そうはいっても、通貨と財政を全く別々には扱えないということで、財政規律についても緩い基準が設けられました。財政赤字はGDP(国内総生産)の3%以内、公債残高がGDPの60%以内という『成長・安定協定』が定められ、加盟後もこの基準を満たさなければならないとされたのです。

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